FISPA便り「JFWの冠はどこへ行った」

 先週、東京ビッグサイトで開かれたJFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW・IFF)。主催者の熱意と工夫の跡は感じられましたが、大きな課題が浮上しているように感じられました。会場で出展者、バイヤー、コンサルタントなど関係者から話を聞いたところ「回を重ねるたびに規模が縮小して活気が乏しい」との声でした。その上で「本来は、出展企業もバイヤーも関係者のすべてがフェアを盛り上げる必要があるのですが…」との意見も多く聞かれました。

 規模が縮小しているとは言え、主催者の努力は随所に見られました。インバウンド消費も含めて注目されている「メード・イン・ジャパン」ブランド、時代が求めている「サスティナブル・ファッション」エリア、さらにはインテリア関連企業の「ライフスタイル」エリアなど、時宜を得たものです。また、各種セミナーは、質量とも充実したものでした。

 しかし、内容は、例えば「メード・イン・ジャパン」は、いささか寂しい印象がぬぐえませんでした。山形県の毛紡績・ニット・アパレル製品の佐藤繊維やオリジナル素材に特徴のある、自立したニッターなどが出展して気を吐いていましたが、全体的にはブランド数も少なく、インパクトに欠けたことは否めません。

 業種では全体に婦人・紳士アパレルブランドが少ない印象で、ここに課題のカギがあるように思えました。ファション産業にとって、アパレル製品、とりわけ婦人服は中核中の中核商品です。中でも中間ゾーンは、日本アパレルの主戦場です。このゾーンが消費の最前線で苦戦していることがIFFでの婦人アパレル企業の出展のブレーキになっているのでしょうか。

 ファッションアパレル産業にとって、目下の関心は日本ファッション産業協会(JFIC)がスタートさせた、純国産表示制度「J∞QUALITY」(JQ)でしょう。IFFの会期中に記者会見したJFICの三宅正彦会長は、同事業の進捗状況について「認証取得数は、189社223件になった」と発表しました。商品認証数も7社72件に達しています。

 そうした見聞から、ふと思ったことがありました。「JQの試みとIFFという展示商談会がうまくかみ合ったらどうだったか」との思いです。何故なら、JFW・IFFには「もともと、官民一体で日本ファッションを世界に発信しよう」との理念から発足した「JFW(日本ファッション・ウイーク推進機構)」の冠が付いているのですから。                

(聖生清重)