FISPA便り「熱気、真剣、総合で意義あるPTJ」

 熱気はあるが浮ついていない。出展者もバイヤーも真剣。全国の自信作が一堂にそろって便利、といったところでしょうか。去る9、10日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれたテキスタイル商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)2018春夏」(主催・日本ファッション・ウィーク推進機構)を見ての感想です。

 PTJは、全国のテキスタイルメーカーが出展し、とかく「見せるだけ」、「見るだけ」と言われる日本の展示会ではなく、商談に的を絞った展示会として定着しています。出展者も全国の産地から、新規顧客を獲得しようとの意欲に燃える企業が集まり、商品も自社の得意技を駆使して開発したものが揃っています。

 出展ブースを回りながら、主催者、出展業者、バイヤーやファッションデザイナーの話をお聞きしました。そうした会話と個人的な感想が冒頭の「熱気」、「真剣」、「総合」です。当初から関わっている関係者は「PTJに出展しているメーカーの多くは、最終市場でアパレル不振が続いているもの、生き残りに自信を持っている企業ばかり」と話していましたが、実際、出展を継続しているある機業は従来の下請け・賃加工を脱し、通販などに販路を開拓しています。

 今回の出展企業は、国内企業88社、海外5カ国・9社の計97社でした。

いずれも出展審査を通過した企業ばかりです。そして、ビジネスにつながる商談会として評価されるようになった理由の一つではないか、と思わされたのが会場入り口に置いてあった出展者一覧の小冊子です。ブース番号、社名・住所、電話番号、主な扱い商品が記載されていましたが、同時に反物や飛行機のアイコンが記されていました。

 例えば「反物」のアイコンは、「自社リスクのストック販売対応」や「1反からの別注対応可能」、飛行機のアイコンは「輸出対応可能」といった具合です。「なるほど」と思わされたのは、出展者の大半が「自社リスクのストック販売対応」を行っていることでした。出展者が売る努力をしている。バイヤーは小ロットで欲しい時には欲しいテキスタイルを入手することができるというわけです。

 すでに世界でも定評のある日本のテキスタイルです。PTJという場を踏み台にしてアパレル不振を打破するアパレルファッションが生まれることを期待したいと改めて思いました。

                 (聖生清重)