FISPA便り「IFI、働きながら学ぶコースへ」

 一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFI)は今年、財団設立25周年、IFIビジネススクール開校20周年を迎えます。日本のファッション産業の次代を担う優秀な人材を育成することを目的に歩んできましたが、開校20年で基幹のマスターコースの入学生の減少が止まらず、ひとつの転機を迎えています。このため、同財団では同コースを「働きながら学ぶ」内容に変更するなどの変革に取り組んでいます。

 IFIビジネススクールは、1998年開校の全日制のマスターコース(大学卒および同程度の一般教養を有する20歳以上が対象)、同年スタートのエグゼクティブコース(執行役員以上の経営者が対象)、1994年スタートのプロフェッショナルコース(実務者・学生対象で夜間週1回・半年間)、1996年スタートのマネジメントコース(幹部・幹部候補生対象で昼・夜6日間)で、4コースの総修了者は5621人。これにエグゼクティブフォーラム受講者の292人を合わせると総数は5913人にのぼります。

 このうち、基幹のマスターコースは当初2年間でしたが、5年目の2002年から1年間に短縮されました。にもかかわらず、20人前後だった生徒数が2011年以降は一ケタに減少しています。人材育成の必要性は百も承知でしょうが、業績が厳しくなると「1年間、若手を学ばせる」余裕がなくなるのでしょうか。マスターコースの派遣先企業は、百貨店、アパレルが中心です。双方の業界が厳しい状況にあることも理由だと思われます。

 このため、IFIは今年下期から、マスターコースを「働きながら学べる」内容に変更することにしました。期間を1年間から半年間・84時限に変え、受講料も従来の3分の1以下の50万円以下と受講しやすいようにして10月に開校することにしました。定員15人の少数精鋭で行う授業は、昼間から平日夜間と土曜日に変えます。「オフ・ザ・ジョブ」から「オン・ザ・ジョブ」への転換です。

 産業、企業の将来にとって人材育成が最重要なことは誰もが認めています。厳しい状況にあって、いや、厳しい状況だからこそ、人材育成に投資することが未来にとって大事なことは誰もが理解しているでしょう。「働きながら学べる」アドバンス・コースで、1人でも多くの若者が学ぶことを期待したいと思います。                          

(聖生清重)