FISPA便り「バレンタイン、最初の売り上げは170円」

 2月14日はバレンタインデー。この日は3世紀にローマ皇帝の迫害により殉教したバレンタイン司祭に由来する記念日ですが、日本ではもっぱら女性が男性にチョコレートを贈る記念日になり、毎年、この時期になると、各小売店はバレンタインチョコの特設売り場を設けて販売促進に努めています。

 日本でバレンタインデーにチョコレートを贈るようになったのは、メリーチョコレートカムパニーが新宿伊勢丹で1958年(昭和33年)に販売したのが最初だそうです。欧米では、その日に恋人、家族、友人にカード、花束、お菓子などを贈る習慣がある、との一人の社員が出した絵ハガキをヒントにして「これを販売促進のイベントにしよう」と試みたのだそうです。

 果たして、結果はどうだったでしょう。売り上げは50円の板チョコ3枚と20円のメッセージカード1枚の合計170円でした。惨敗ですね。

 最初の試みは、惨憺たる結果に終わりましたが、その後、70年代前半にはバレンタインデーにチョコレートを贈る習慣が小学生高学年から高校生に広がり、さらに80年代後半になると主婦層にまで浸透して、すっかり習慣として定着しています。市場規模は、500億円に拡大しているそうです。

 このコラムを書くために、ネットで調べていましたら、チョコレート業界では大手のモロゾフがHPで「1932年にチョコレートを贈る習慣を紹介した」との歴史を書いていました。

 ついでながら、記念日がらみの商戦では、こんな記事がありました。節分の日に食べる恵方巻のことです。節分に恵方を向いて無言で食べると縁起が良いとされる習慣ですが、関西発のこの習慣もコンビニやスーパーなどが積極的に取り組んだことが奏功したのでしょう。関東地方でも広まっています。

 しかし、こちらは、昨年、売れ残った恵方巻の廃棄処分がネットで話題になったそうです。そこで、関西のある中堅スーパーが今年は、資源維持の観点から廃棄ロスをなくすため、前年並みの数量に抑えて売り切り、廃棄処分をまぬがれたとのニュースです。称賛する声が多いそうですが、まったくその通りだと思います。
                        

(聖生清重)