FISPA便り「稀有な会議」

稀有な会議が実行を担保。

FISPA(繊維産業流通構造改革推進協議会、略称・繊維ファッションSCM推進協議会)の活動の中で毎年、秋に開かれる重要な会議が、経済産業省や繊維ファッション業界の各団体から注目を集めています。
「経営トップ合同会議」がその会議です。
真剣に討議し、決定したことは、責任を持って実行する。
当たり前のことですが、なかなかそうならないのが世の常でしょう。ですが、「経営トップ合同会議」は、当たり前のことが当たり前にできる仕組みで運営されている稀有な会議なのです。

 今年の「経営トップ合同会議」は、去る11月11日に開催されました。参加企業63社の経営トップが、川上から川下までの業界団体関係者、プレス等約120人のオブザーバーが見守る中で、FISPAが推進している「取引ガイドライン」、「SCM統一伝票」の普及状況や今後のTA(テキスタイル・アパレル)プロジェクトの進め方などを真剣に話し合いました。

 しかし、これまでの活動で「下請法を遵守し、契約書の締結が当たり前になってきた」(馬場彰FISPA会長)ものの「下請法が適用されないところで『金利引き』といわれる悪しき習慣がいまだに根強く行われている」(同)という問題が残されています。今回の経営トップ合同会議で、その全廃に向けた活動を強化することで合意しました

 さて、稀有な会議のことです。
今回、初めて参加した経済産業省繊維課の田川和幸課長の弁をお借りするとこうです。「日本の産業界で、これだけの(サプライチェーンの)関連業界トップが集まり、議論し、具体策をまとめて実行するという取り組みは他になくすばらしいことだ」。

 世界の経済環境は、想像を超えたスピードでグローバル化が進んでいます。「取引き」に関する国際標準への対応が不可欠です。稀有な会議の真価が問われるのはこれから、ということでしょうか。

(聖生清重)