FISPA便り「明日を拓くライフスタイルTX展」

衣料用素材もインテリア用素材も「繊維」で出来ています。インテリア素材には木材などもありますが、中心的な素材はファブリック、つまり「生地」です。

生地の原料である糸は、合繊メーカーや紡績メーカーが作っています。消費者は、当然のこととして同じ糸メーカーが作った糸を織ったり、編んだりした素材の服を着て、同じメーカーが作った糸を使った素材で作ったカーテンやテーブルクロスを使用した生活をおくっています。

「ブランドの条件」(山田登世子著、岩波新書)によると、ブランド(贅沢)は、元来、男のものだったのが、20世紀初頭のブルジョワジーの時代には女性専科となり、かつ室内装飾も対象となった。ファッション誌とインテリア誌が女性誌の範疇に入る起源はここにあるそうです。ブランドの世界では、衣料用素材とインテリア用素材は、生活を豊かにする素材として同一に存在していたことが読み取れます。

「何が、言いたいの」と思われるでしょう。結論は、こうです。日本が世界に誇るテキスタイルの展示会であるジャパン・クリエーション(JFW-JC)と、同じく世界に誇るインテリアテキスタイル展示会であるジャパンテックスが手を携えて「日本の技術と感性」を織り込んだテキスタイルを同時に同じ場所で世界にアピールしてもらいたいのです。

繊維素材関連の展示会では、パリのプルミエール・ヴィジョン(PV)が頂点に位置付けられています。ミラノの「ミラノ・ウニカ」も世界からバイヤーを集めています。しかし、日本のテキスタイル展は、衣料用もインテリア用も残念ながら大勢の海外バイヤーを呼び込んでいるとは言えません。JCは当初「西のPV、東のJC」との壮大な夢がありました。ですが、その夢は遠のくばかりか、東の頂点の座は上海に奪われそうです。

ブランド・ビジネスにとって、時代は、アパレル単品やインテリア単品ではなく、生活者の生活全般を提案する「ライフスタイルブランド」の時代です。現状、別開催のJCとジャパンテックスの協働(共催、併催)を実現することは消費者利益につながり、だからこそ「日本ライフスタイルテキスタイル展」に海外バイヤーが足を運ぶことになるのではないでしょうか。

(聖生清重)