Ⅰ.令和2年度事業活動方針

  世界経済は緩やかな成長を続けていたものの、昨年から続く米中間の通商問題や英国のEU離脱を巡る不確実性に加え、昨年11月中国武漢で発生した新型コロナウイルスは世界的な感染拡大を続け、先行きが見えない深刻な状況である。

  このウイルスの急速的な感染拡大は、国家の存続すら危ぶまれるような状況を生み、世界的には、各国のコロナウイルス対策による外出制限もあり個人消費はゼロベースに近く、製造業におけるサプライチェーンは、生産基地中国のウイルス防御による都市封鎖等により崩壊を招いている。

  日本経済も同様に、出入国禁止等により観光業や製造業等あらゆる分野に深刻なダメージを与え、加えて予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期されるなど、期待されていた消費者マインドの持ち直しも先送りとなり先が見えない状況である。

  このようなことを踏まえ、従来通り、「取引ガイドライン」を基本に取引適正化事業を進めて行くと共に、コロナウイルス感染が制圧され、日常の生活が戻ることを念頭に、サプライチェーンの在り方や取引における安心・安全で公正な取引が可視化できる仕組みを策定すること等、取引適正事業に取り組んでいく。

Ⅱ.事業活動

1.取引適正化事業

  令和2年度も経済産業省ならびに各業界団体と連携を取りながら、「ガイドライン」の普及啓発活動を更に推し進め、「適正取引」や「付加価値向上」につながる望ましい取引慣行を普及・定着させるための適正取引の推進と、サプライチェーン全体の取引適正化に向けた活動を実施する。

(1)聴き取り調査の実施

 例年通り、「ガイドライン」の実践・進捗状況、「(売買)基本契約書」の締結状況、「発注書」の発行状況や計画情報共有の実情等の調査、「歩引き」取引の実情、「自主行動計画」の実施状況等についての調査を行う。平成26年から実施している産地を対象とした調査は、引き続き実施する。

1)実施時期:令和2年5月~9月

2)内  容:
・「取引ガイドライン」の実践・進捗状況
・「歩引き」取引の有無と実情
・手形取引・決済方法の実情
・「自主行動計画」の進捗状況
・CSRの取り組み状況
・産地における取引の実情

3)対象企業:経営トップ合同会議参加企業及び関連団体傘下会員企業

(2)「歩引き」取引廃止の徹底と普及啓発活動の推進

 繊維産業から「歩引き」取引をなくすために引き続き下記方針にてすすめる。

1)参加企業は企業の社会的責任を果たす意味でも、各社の仕入先、販売先に「歩引き」取引の廃止を要請する。
2)要請後も「歩引き」取引を継続している場合は、企業の社会的責任を鑑み、参加企業は自社の「歩引き」廃止の取り組みや今後の取引等についての説明と協議を進める。
3)事務局は関連する業界団体を通じ、非参加企業に対して、「ガイドライン」の普及活動とあわせて「歩引き」取引の廃止についての啓蒙活動を実施する。

(3)「取引ガイドライン第三版」の普及活動の推進

 当協議会は平成16年の「ガイドライン第一版」作成以来、産地を含む全国各地において機会ある毎に説明会を開催してきた。

 令和2年度は、改定した「取引ガイドライン第三版」の更なる普及・啓発を図るべく、会員企業、産地企業を問わず、各業界団体との連携強化を図り、説明会の開催等に取り組んで行く。

 「基本契約書」の締結促進、計画情報の共有など、基本的かつ普遍的な取引上のルール等を各企業の経営層から第一線で活躍している方々まで理解して貰うことは、取引の健全化にとって極めて重要であり、会員企業はもとより、産地における企業や非会員企業に対して、「ガイドライン」の存在と浸透を如何に図るかは継続的課題であり、今後も引き続き、経済産業省並びに各業界団体との連携を図りながら普及啓発活動を推進していく。

(4)「繊維産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」の浸透ならびにフォローアップの実施

 平成29年3月、当協議会では、日本繊維産業連盟と協同で適正取引の推進を一層進めるため、サプライチェーン全体の取引適正化に向けた活動を充実すべく「繊維産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」を策定、業界団体の協力を得て、浸透活動をすすめている。

 令和2年度も引き続き繊維業界全体に対して「自主行動計画」の浸透をはかるための活動を行う。

 特に、説明会、アンケート結果なども踏まえて、浸透が浅い地域、団体に対しては重点的に実施する。

2.「情報の共有化」事業

 令和2年度は、「コネクテッド・インダストリーズ」の推進による付加価値の創出を踏まえ、「情報化勉強会」を通じてIoTやAIなどに対する知見を深めると共に、新たなビジネスモデルが生まれる可能性も見据えて、他の繊維業界団体とも連動して情報を収集し、改めて「情報の共有化(標準化)」に関する可能性について検証を行いたい。

3.「TAプロジェクト」事業

(1)「取引適正化推進分科会」活動

 分科会で取り決めた通り、「取引ガイドライン」を基本に置いた「取引適正化」を推進していく。具体的には、各企業単位で「取引ガイドライン」に準拠した「チェックシート」を活用して自己診断を行い、その内容や進捗状況等について「聴き取り調査」を通じて確認していくことを想定している。引き続き分科会では「チェックシート」の細部の詰めや、その運用方法等について継続して議論していく。

(2)ユニフォーム分科会活動

 昨年再確認した文書、「『独占禁止法』等、法令遵守の再確認について」に則り、継続して意識を高め実行していくため、適時「取引ガイドライン」、「独占禁止法」、「下請法」、コンプライアンス等に関する研修会やセミナーを開催し啓発していく。

Ⅲ.委員会活動

1.事業運営委員会

事業運営委員会では協議会の運営強化や事業内容の検討立案と広報調査活動を実施する。

(1)令和2年度事業計画の実施状況の確認及び次年度事業計画の立案
 当該年度事業活動の実施状況を確認すると共に次年度事業計画についての案を事務局並びに理事会に提案する。

(2)広報活動の実施
 「メルマガ」「FISPA便り」等による協議会の活動内容及び、業界関連記事等について会員への広報活動を実施する。 

(3)各種セミナーの開催
 「法律相談セミナー」「事例研究セミナー」「経営トップセミナー」等の開催

(4)産地研修会の実施
 繊維製品の生産現場の実情を理解し、「モノ作りの大変さ」「加工のプロセス」「情報共有の重要性」等について学ぶことを目的とした研修会を実施する。

(5)EDI標準メッセージの管理について
 「TAプロジェクト繊維標準メッセージ」及びQR推進協議会からの「繊維産業EDI標準メッセージ」の維持管理業務を実施する。

2.取引改革委員会

 取引改革委員会では繊維ファッション産業界の各段階間の取引上に生じている課題について調査するとともに、具体的な解決策について検討を行う。また、「取引の適正化」を図るため、
諸官庁及び関連する業界団体と連携強化に努め、「ガイドライン」の普及・啓発活動を推進し、取引の適正化を進める。

(1)「ガイドライン」普及啓発活動の実施協力

1)関連業界団体及び産地・産元企業への「ガイドライン」の説明会開催
2)団体傘下の企業への「ガイドライン」についての実施状況に関する聴き取り調査
3)実施状況を幅広く把握する為、聴き取り調査訪問先の拡大
(団体傘下企業への訪問件数:平成28年17社→令和元年30社)

(2)適正取引の推進
 業界全体における取引上の不公平・不公正な取引慣行の改善及び課題解決に向けた取り組みの推進。

1)「歩引き」取引の全廃と手形取引の適正化に向けた活動
 関係する業界団体、及び経済産業省との連携強化に努め、「歩引き」取引の全廃に向けた具体策の立案と実施を進める。また、手形取引の適正化についての検討を行う。
2)「基本契約書」の締結を推進する活動
3)「発注書」の発行及び入手を推進する活動
4)「取引相談室」の有効活用に向けての周知活動

Ⅳ.令和2年度 組織編成