FISPA便り「今年の新入社員はドロ-ン型」

 今年の新入社員はどんなタイプなのでしょう。新入社員のタイプを毎年、発表している日本生産性本部によると、平成28度は「ドロ-ン型」だそうです。強風(就職活動日程や経済状況)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地できた者が多かった。さらなる技術革新(スキルアップ)によってさまざまな場面での貢献が期待できる。社会の転換期にあって、世界を俯瞰できるようになってほしい、とそのココロを解説しています。

 ただし、夜間飛行(深夜残業)や目視外飛行は規制されており、ルールを守った運用や使用者の技量(ワークライフバランス)への配慮や適性への見極めも必要、だとしています。その通りでしょう。

 果たして、このコラムを読んでくださっている方は、いかなる感想をお持ちでしょう。スキルアップによって、さまざまな場面で貢献し、世界を俯瞰できるように、との願いはいつの時代でも大事な要素であることに異論はないでしょう。「変化」への対応が必須なファッション産業では、特に重要な資質でしょう。ルールを守った運用は、新入社員が「ドロン」と雲隠れ、つまり、退社させないために大事なことは言うまでもありません。

 企業は人なり、は永遠の真理だと思います。とりわけ、最近は、ファッション販売の最前線や産地の中小メーカーで人手不足が顕著になっています。飲食業やコンビニの時給も上昇する一方です。優秀な人材を確保し、育成し、戦力化することは、企業間競争を勝ち抜く上で優先課題になっていると思います。

 ファッション産業界には、ファッション産業に特化した人材育成機関として一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFI)があります。全日制のマスターコースのほか、中堅・若手社員向けの夜間のコースなども設けられています。IFIの機能は、もっと活用されてしかるべきだと思います。

人材育成投資は、その重要さを誰もが認めていますが、時に経費カットの必要に迫られると、真っ先にその対象になるケースが少なくありません。しかし、新入社員は、いつの時代でも金の卵です。「ドローン型」か否かを問わず、一人でも多くの新入社員が一日も早く「新鋭ドローン」となって「自律飛行」ができるように大事に育成してもらいたいものです。

       (聖生清重)