FISPA便り「マッカーサー元帥の青春」
今年もまた、巡ってきた春は、別れと出会いの季節。卒業、入学、定年退社、入社などなど。年度末の3月には別れがあり、続く4月には新たな出会いがあります。満開の桜花の下での笑顔の記念写真があれば、桜散る(不合格に泣く)春もあります。サラリーマンなら、新入社員として胸を高鳴らせている人がいる一方、長年の務めを終えて第二の人生に踏み出す人がいます。
そうした春を思うたびに口ずさむ詩があります。「青春」です。あのマッカーサー元帥が執務室の壁に飾り「座右の銘」にしていた「青春」。筆者は1980年代初めに当時、東洋紡社長だった故・宇野収さんに教えていただきました。社長、会長、関経連会長の時も「旧制高校生」の面影を残していた“宇野青年”は、いつも「青春」の詩を愛唱していたのです。
詩の作者は、米国のサミエル・ウルマン。米国では、有名な詩人ではなかったそうですが、日本では宇野さんをはじめ、ソニー創業者の故・盛田昭夫さんなど財界人のファンが少なくなかったようです。アラバマ州バーミングハム市にあるウルマンの自宅が取り壊されそうとしていた際、宇野さん達は「ウルマン記念館」建設のためポケットマネーを出し合って資金協力をしました。
マッカーサーや宇野さんの座右の銘だった「青春(YOUTH)」の詩はこう言います。
青春
青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ
(中略)
年を重ねただけで人は老いない
理想を失う時初めて老いがくる
(中略)
人は信念とともに若く 疑惑とともに老いる
人は自信とともに若く 恐怖とともに老いる
希望ある限り若く 失望とともに老い朽ちる
(後略)
松永安左ェ門訳
新たな世界に踏み出した人、引退後の生き方に思いを馳せる人。悩める人。どなたにも贈りたい詩です。
(聖生清重)