FISPA便り「SCフェアで出合った異色のブース」
先週、日本ショッピングセンター協会主催の「SC全国大会」が横浜市のパシフィコ横浜で開かれました。今回で40回を数えます。ディベロッパー、テナント、サポート企業が出展する商談展示会のSCビジネスフェア、質量ともに充実している各種セミナー、接客ロールプレイングコンテスト全国大会などで構成された大会は、3日間で6万5000人の入場者でにぎわいました。
ビジネスフェア会場は、今回もイオンなど大手小売り系企業と三菱地所、三井不動産に代表される財閥系やJR東日本などJR各社が広いブースを構えて存在感を誇っていました。一方、キャピタランド・モール・アジアなどアジア系SCの有力ディベロッパーが日本のSCやテナントの誘致を目指して「海外ディベロッパー」ゾーンを構成して出展し、ビジネスフェアのグローバル化を見せつけていたのも印象的です。
そんな会場で、異色のブースが眼にとまりました。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のブースです。小規模なブースで担当者も一人だけでした。ビジネスとは無関係に見えるブースで、違和感があるように思えましたが、筆者にはやけに目立ちました。時あたかも、シリアからの難民問題が深刻化している状況だからです。
SCの商談展示会には、一見するとそぐわないように思える国連機関の日本窓口組織ですが、実は、人が大勢集まるSCとUNHCRは相性が良いように思えます。担当者に話を聞くと、UNHCR日本委員会は、すでに北海道、関東、関西、中部、九州を中心に2009年から公共の場所やイベント会場だけでなく、ショッピングモールでも「難民支援キャンペーン」を行っているそうです。
施設の一角を借りて、難民支援者を募るキャンペーンは、相当な実績を積んでいることを知りました。1週間から10日間、商売の邪魔にならない小スペースでUNHCRの職員が出向いてのキャンペーンですから、施設側の負担はありません。
担当者の話を聞きながら、「UNHCRに活動スペースを提供する。これも立派なCSR(企業の社会的責任)の実践でなはいか」と思いました。SCビジネスフェアのちょっといい話ではないでしょうか。
(聖生清重)