FISPA便り「クリエイション大賞と世界平和」

 今年もまた、日本ファッション協会(馬場彰理事長)主催の日本クエリエイション大賞の季節がやってきました。「クリエイティブな視野で生活文化の向上に貢献し、次代を切り拓いた人物や事象」を表彰する同賞は、毎年、社会的に意義のある「人間っていいな」と思える、創造的な案件が多く、その授賞式での受賞者の謝辞が楽しみです。

 今年は、とりわけ「国際性・次代を切り拓くクリエイション・将来性」にあふれた案件が受賞しました。日本クリエイション大賞の「新世代バイオ素材“人工合成クモ糸”の製品化」に成功したスパイバー㈱取締役兼代表執行役の関山和秀さんはじめ、クリエイション賞の3件とも、甲乙つけがたいクリエイション活動で将来性が期待されるものばかりです。

  表彰式での謝辞もすばらしいものでした。鋼鉄の340倍という異次元のタフネスを有し、直径1㎝の太さのより糸で作ったクモの巣があれば、飛行中のジャンボジェット機さえ止められる“人工クモ糸”。会場にはゴールドウインと共同開発したパーカーが展示されていました。開発した関山さんは謝辞でこう述べました。「世界平和実現のため、何ができるか、がスタートでした。これからがスタートライン。今後も世の中のためになる創造活動に携わりたい」。

  世界中の研究者が挑戦し、不可能とされてきた、夢の素材の開発は「世界平和」を目指したものでした。いささか大言壮語に聞こえなくもない発言でしたが、関山さんの口からでた言葉は自然のものでした。

  世界の空へ飛び立つ「ホンダジェット」をつくったホンダエアクラフトカンパニー社長兼CEOの藤野道格さんは「主翼の上にエンジンを配置した。これは非常識の世界」、日本初の全寮制「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」の常任理事・河野宏子さんは「知恵と夢だけでつくった」、「精密位置決めスイッチで世界トップ」の㈱メトロール社長の松橋卓司さんは「真似はされても真似するな、が合言葉で、かかあ天下(女性社員比率が高い)」。

  自らを信じて、未知の世界を切り拓く人々。人間って、素晴らしいな!

(聖生清重)