FISPA便り「ピラミッド型から卵型へ」

 三角形のピラミッド型から楕円形の卵を立てた型へ。アパレル市場構造の変化を形で表すとこうなるということです。経済産業省のアパレル・サプライチェーン研究会の資料を見ていて「なるほど」と思わされたのがピラミッドから卵型への市場構造の変化でした。

 アパレル製品の市場は、従来は三角形の頂点から底辺にかけて「オートクチュール」、「クチュール」、「プレタポルテ」、「ファストファッション」、「コモディティ」商品で構成されていました。ところが、最近は三角形でなく卵を立てた型に変化しています。頂点部分を「クチュール」とそれに続く「若手デザイナー」が占め、圧倒的に広い残りの部分は「プレタポルテ」、「ファストファッションのコモディティ化商品」で構成されています。

 この理由について、資料は①ファストファッションの台頭により、世界のブランド構成は大きく変化。プレタポルテの企業が価格競争に巻き込まれ、プレタポルテからファストファッション、コモディティまでの商品が同質化②国内アパレル業界でも、トレンド後追いの企画による同質化、製品原価率の圧縮による品質の低下により、正規価格(プロパー価格)で売れない商品は、値引きして販売。消費者も値引きを期待して、プロパー価格で購入しなくなるといった悪循環が生まれている―と指摘しています。

 90年代に入って以降の商品の同質化はかねて問題視されています。グローバル競争、デフレ経済下での競争激化でアパレル企業は、競争優位を保つために、売れ筋商品を期中に投入するビジネスモデルを指向しました。同時に中国やアセアン諸国の縫製力を活用した低価格商品の海外生産も急速に進展しました。アパレル企業は、競争に打ち勝つため、生産は商社のアパレル製品OEMに依存し、自社は主として魅力的な売場づくりを含めた店頭販売に注力するようになりました。

 その結果が、商品の同質化を招いたというわけです。昨今の日本のアパレル企業の主戦場である中間ゾーン不振も、こうした市場構造の変化で説明できるのではないでしょうか。

 さて、問題はその打開策です。くだんの資料は、こんな消費傾向も示しています。「プレミアム消費(自分が気に入った付加価値には対価を払う)」は2000年の13%から14年には22%に増え、「安さ納得消費(製品にこだわりはなく、安ければよい)」は、40%から24%に減少しています。

 商品の同質化は、天災ではなく、人災ですから、その気になれば改善できるはずです。                         

(聖生清重)