FISPA便り「微差の消耗戦を打開するために」
昨年の暑かった夏の一日。東京・日本橋のオンワードパークビルディングで日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)がアパレル企業とクリエーターの出会いを実現するビジネスマッチングが開催されました。昨年に続いて、今年も7月19日に同所で同様の商談会が開かれます。
JAFICは、かねて、企業とクリエーターが出会う仕組みとして「JAFIC PLATFORM」事業を行っています。業務委託を希望して登録しているクリエーターは、ベテランから新進気鋭の若手まで約90人にのぼります。一方のJAFIC会員企業は、総じてアパレル中間ゾーンの不振に悩まされる中でアパレルビジネスの本質である「クリエーション」を自社に取り込む必要に迫られています。
そうした中で開かれた昨年のビジネスマッチングでは、複数の“婚約”が実現したそうです。その背景には、外部クリエーターの活用の仕方を事例で学ぶパネルディスカッションがあったと思われます。そこで、今年も北畑稔レナウン社長、松尾憲久マツオインターナショナル社長、伊藤美香オーロラ執行役員が「外部クリエーターとの付き合い方」、「業務委託の契約形態はどのように?」、「成功事例・失敗事例」などを話すことになっています。
ファッションアパレル業界の現状は、中間ゾーンの不振が続いています。アパレル市場の構造が「低価格ゾーン7割、高額品ゾーン1割、中間ゾーン2割」とさえ言われるほど、中間ゾーンが低迷しています。現に、今月に入って発表された2月期の17年3-5月期決算は、減益が目立ちます。日本アパレルが得意な中間ゾーンに吹いている逆風は止んでいません。
しかも、問題なのはアパレル不振が、産地のテキスタイルや染色加工、副資材、縫製などの関連業界にも影響を及ぼしている現実です。ことはアパレル企業だけの問題ではありません。
「微差の消耗戦」に苦慮している姿が想像できます。JAFICのある幹部は、そうした局面を打開するための有力な方策のひとつはクリエーションだと断言しています。そして、その手段のひとつが純国産の「J∞QUALITY」(JQ)だ、と。
今年のビジネスマッチング商談会には、廣川玉枝(ソマルタ)をはじめ21人のクリエーターが参加します。中間ゾーン不振を突破する良き出会いの実現を期待したいと思います。
(聖生清重)