FISPA便り「小池知事、五輪ボラユニフォームに気配り」

 株高に代表されるように、2018年初頭の経済天気図には「晴れマーク」がついています。日本経済の悲願だったデフレ脱却も実現に向かいそうな状況です。繊維ファッション業界も、いわゆるアパレル製品の中間ゾーン商品が昨年夏を境に長い不振を脱し、回復に転じているとの見方が広まっています。

 そんな明るさを後押しするかのような発言が年頭にありました。日本アパレル・ファッション産業協会の賀詞交換会で、来賓としてあいさつした小池百合子東京都知事がこう述べたのです。

 「2020年開催の東京オリンピックでは、万を超える観光ボランティアの募集を予定しています。その際、ボランティアの服装には気を配ろうと思っています。『ファッションが魅力的なのでボランティアを希望した』と言われるようなものにしたい。素材はJ∞Quietly(純国産認証)で。私は、かねて、日本は高い技術、品質、納期管理に優れた、糸へんの国だと思っています。都は、若手デザイナーの海外進出も支援しています。東京から世界に向けてファッションを発信したい」。

 小池知事は、かつて環境大臣だった時、クールビズを導入してことで知られますが、以来、アパレル・ファッション業界の首脳陣とも交友が続いています。当然、ファッションや産業の実態にも詳しいと思われます。同時に、知事として都市力を高めるためにはファッションが必要なことも理解しているでしょう。

 世界を見渡せば、都市の魅力度ランキングでは、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ミラノなどが上位に位置しているでしょう。都市のインフラ、経済力に加えて、美しい町並み、有能なデザイン人材、高度な商業施設、充実した美術館、人材育成機関などが揃った”高度なファッションイメージ”が高いことが人気の源だと思われます。

 2019年には、ラグビーW杯も開かれます。そして、東京オリンピック、さらには、「大阪万博」への期待も高まっています。訪日観光客が急増する中、ビッグイベントを活用して東京の都市力を高めるとともに、ファッション産業の発展にもつなげるため、ファッションアパレル関係者の関与と奮闘にも期待したいと思います。 
                   

(聖生清重)