FISPA便り「今年の新人はチームパシュート型」

 毎年、この時期になると楽しみにしている、というより気になるニュースがあります。新年度に入社した新人のタイプのことです。日本生産性本部が毎年、発表しているもので、昨年のそれは「キャラクター捕獲ゲーム型」でした。このコラムを読んでくださっている方が所属している会社、各種団体などの新人のタイプはどうだったでしょう。「その通り」でしょうか、それとも「ウ~ン」でしょうか。

 その新人のタイプですが、日本生産性本部は2017年度で発表しないことになってしまいました。残念だと思っていましたが、代わりに人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が、特徴と育成のヒントになる2018年度のタイプを発表しています。

 今年度の新人のタイプは「SNSを駆使するチームパシュートタイプ」だそうです。そのこころは「冬季オリンピックで金メダルに輝いた女子チーム。3人が順序を入れ替えてリンクを疾走する。今年の就職戦線は売り手市場でスピーティーに活動を終えることができた。しかし、就活は一大事業。少数の仲間同士でSNSを活用し、綿密な情報交換で協力関係を構築し、内定というゴールを目指した。就活は短期決戦だが、入社すれば40年もの長期戦。自分なりのテーマをもって仕事をする努力を怠れば周回遅れも」というものです。

 「SNSを活用してグループの協力関係を作りスピーディーに活動した」今年の新人。言われてみれば、個々の力では競争相手に及ばないものの、団体(チーム)の力で競争相手に勝つ。「和をもって貴しなす」ことを重視する日本人の精神性を反映していると言えるのかもしれません。「自分なりのテーマ」がもてないと周回遅れになるのは今年に限ったことでなく、いつの時代でも大事なことだと思います。

 新人のタイプではありませんが、気になるのは早期退職の傾向です。厚生労働省調査によると、大卒新入社員の退職率は有効求人倍率が上昇に転じた2010年以降、3年以内の退職率が30%台で推移していることです。人手不足時代。せっかく採用したのに、あっさり辞められては困りますね。最近の若者は「タフさ不足」との声もありますが、そう嘆く前に育成にこそ知恵をしぼる必要があると言うべきでしょう。               

(聖生清重)