FISPA便り「普通」に戻ることが復興への道
当協議会では、今年度からメールマガジンの内容を事業活動等についての報告だけでなく、繊維ファッション産業界の様々なことについて、FBフォーラム代表 聖生 清重氏(元日本繊維新聞社 取締役 編集局長)にご協力をお願いし、業界に関わるニュース等も併せて配信することと致しました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
【「普通」に戻ることが復興への道】
東日本大震災から早や1カ月が過ぎて、被災地は復興モードへと切り替わり、東京では急速に「普通の状況」が戻ってきました。被災地の復旧、生活再建はまだまだこれからですが、復旧から復興への道を確かなものにするためにも「普通の生活」が重要だ、との認識が多くの日本人の間に広まってきたことは「被災者への力強い支援」につながるでしょう。
震災後、繊維ファッション業界でも「東京発 日本ファッションウイーク」(JFW)の東京コレクションや、日本アパレル産業協会が日本百貨店協会の協力を得て東京・銀座で展開する予定だったファッションイベントなどが軒並み中止になりました。被災地の悲惨な状況から見てやむを得ない措置ですが、いつまでも自粛では、経済は回っていきません。若手デザイナーや小規模なアパレル企業、夏物の追加発注が止まった産地の中小メーカーは、とりわけ川上から川下までの業界全体の「普通の活動」を待ち望んでいます。
その「普通」への歩みが現実化するようになりました。JFWもJFW公式サイト内に特設ページ
をオープンし、11年秋冬コレクションのルックブックなどを随時発信しているほか、海外のファッション系サイトへも日本ファッションの発信を強化するよう働きかけています。延期になった合同展示会も「ルームスリンク」が4月20―22日に東京・六本木の六本木アカデミーヒルズで開催されることが決まりました。
先週、東京で開かれた若手デザイナーの小規模な合同展示会をのぞいてきました。同展を引っ張る若手デザイナーの江角泰俊さんは昨年秋、JFW主催の第3回シンマイ・クリエーターズ・プロジェクトに選出された。「ヤストシ・エズミ」ブランドの展開は今秋冬で3シーズン目。江角さんは、上質なカシミヤやシルク素材を使い、「リクタンブル(長方形)」を原型にしたデザインのニットロングカーデーガンなど手にとって、そのコンセプトや受注状況などを熱心に説明してくれました。江角さんの目の輝きから「普通」の重要さを改めて痛感しました。
(聖生 清重)