FISPA便り「サブスクリプション型サービス」

 サブスクリプションとは、何か。ウィキペディアは、こう説明しています。「ビジネスモデルの一つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて、利用した期間に応じて料金を支払う方式」。音楽や動画の配信でおなじみですが、最近は、ライフスタイル分野全般で新たなサブスクリプション・サービスが広がっているようです。

 伊藤忠繊維カンパニーが発行している繊維月報9月号に教えられたのですが、なるほどと思わされるサービスが広がっています。毎月、厳選されたコスメやアクセサリーなどが届くフランス発の「マイリトルボックス」。事前に内容を公開せず、読者にサプライズ体験を届けているもので、SNSなどを通じて会員の輪は世界3カ国で15万人に達しているそうです。

 ㈱現代経営技術研究所は、こだわりを持つ全国の専門店がキューレーションする商品を、毎月1回、定額で届けることによる新たな購買体験の提供を目指しています。㈱スパークルボックスは、月額2500円で自分好みのアクセサリーを何度でも借りられる定額制のレンタルサービスを行っています。

 さらに、㈱トラーナは、知育玩具のスペシャリストが、子供の月齢や嗜好に応じた玩具を50メーカー、1100種類以上から選び、定期的に発送する定額レンタルサービス「トイサブ」を運営し、玩具業界の構造改革を目指しています。レナウンが2018年春に開始したビジネスウエアの月額制トータルサポートサービス「着ルダケ」もサブスクリプション・サービスのひとつです。

 現代消費者の志向が消費から体験、所有から利用へとシフトしていると言われる中での新たなビジネスの展開ですが、確かに、忙しい現代人や、あふれかえるモノの中から何を選んだらよいか迷う現代人にとって、便利かつ安心できるサービスだと思われます。

 すでに旧人に属する筆者には、まるで思いつかない、これらのサービスですが、㈱電通デジタルのデジタルトランスフォーメーション部門サービスマーケティング事業部長の安田裕美子さんの「規模が大きくなるほど導入への障壁が高いと感じます。これからのビジネスや事業体のあり方、提供すべき価値を考えていく新規事業などで、サブスクリプション型ビジネスを取り入れるお手伝いをし、小さな成功を積み重ねていくことが、企業全体の変革にもつながるのではないか」との見解には示唆するものがあると思いました。  

(聖生清重)