FISPA便り「SCフェアで感じた本気のES」

 活気があって、ここから何か、新しい波が生まれそう。先週の23、24、25日の3日間、パシフィコ横浜で開かれた日本ショッピングセンター協会の第43回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2019」を見て、そんな印象を持ちました。足を運んだのは、最終日の午前でしたが、入場者が次々とつめかけ、会場全体が活気にあふれていました。

 あるブースでは、人型ロボットが施設内の案内、魅力的なディスプレー、人手不足対策に役立つ仕組み、設備をアピールしていましたが、人型ロボットは、実は、若い女性が白いスーツに身を包んでロボットに扮していたのです。来場者の関心を引き付ける新手のプレゼンテーション手法には、つい足が止まりました。多くの来場者も同様でした。

 SCビジネスフェアは、SCディベロッパー、テナント(専門店)、サポート企業(内装、店舗企画、環境、管理運営など)が一堂に会し、出会うことで新たなビジネスをつかむのが目的で、実際、毎年多くの出展、来場企業がビジネスチャンスをものにしているそうです。

 フェアの規模は、253社・564小間。入場者は6万人近くに達していますが、注目されるのは、展示商談会の期間中に開かれる有料、無料セミナーが充実していることです。国内外の多くの展示商談会はセミナーを充実させていますが、SCビジネスフェアは、かねてセミナーの内容が濃いのが特徴だと思います。

 今回は、有料の基調講演は、楽天会長兼社長の三木谷浩史、パルコ取締役兼代表執行役社長の牧山浩三、前国連大使・元スペイン大使、国際基督教大学招聘教授の吉川元偉の各氏でした。いずれも関心が高いテーマで講演しました。

  その一方で、昨今の働き方改革、人手不足に正面から向き合うパネルディスカッションも行われました。日本SC協会は、「ショッピングセンターで働くすべての人々の満足度をあらゆる方面から高めていくために、『きずな、やさしさ、ヒューマンリレーション』を3つの柱に活動を続けていきます」との「ES宣言」を発表していますが、この方針にそって、今大会でも「SCを安全で楽しく、誇りが持てる職場とするためには?~テナントからディベロッパーへの提案~」と題して、全国大会実行委員長でR・B・K代表取締役の飯島薫氏がコーディネーターを務め、㈱アダストリア、㈱ユナイテッドアローズ、ロイヤルホールディングス㈱の各社経営トップが登壇しました。

 「ES(従業員満足)無くしてCS(顧客満足)無し」は商売の基本です。SCは今後も進化するでしょうが、この宣言を実践することでこそ進化が実現するのではないでしょうか。そんな期待を感じさせるビジナスフェアでした。
                           

 (聖生清重)