FISPA便り「楽天と東京ファッションウィーク」

 日本ファッション・ウィーク推進機構が主催する「東京ファッションウィーク」の冠スポンサーを楽天が務めることになり、今年10月から「Rakuten Fashion Week TOKYO」として開催されることになりました。楽天はアマゾンジャパンに代わってのスポンサーですが、このIT大手からIT大手への交代劇は、デジタル革命時代を象徴しており、時代の変化を痛感させられます。

 東京コレクションの歴史は80年代にさかのぼります。当時、「DCブランド」(デザイナー、キャラクターブランド)が急成長し、ファッション産業が活気づいていました。1985年には、東京デザイナー協議会(CFD)が発足、同年11月に第1回東京コレクションが開かれました。2005年には経済産業省と繊維・ファッション業界の官民が一体になって日本ファッション・ウィーク推進機構設立し、東京ファッションの世界への発信に努めました。

 その後、政府の支援打ち切りで自立を求められた同機構は、冠スポンサーの支援を受けて運営してきたのはご承知の通りです。冠スポンサーは、自動車のメルセデス・ベンツからITのアマゾンジャパンが務め、今回、楽天が名乗りをあげたものです。冠スポンサーが自動車メーカーからIT企業へと交代したことは、時代の変化を象徴していますが、ファッションはEコマースとの親和性が高いことも大きな理由だと思われます。

 さて、楽天が冠スポンサーになった東京ファッションウィークですが、ファッション業界に詳しい筆者の友人によると、冠スポンサー楽天の三木谷浩史会長兼社長は長期的な視点に立って決断し、しかも、最近は先進的なファッション企業の若手経営者とも交流を深めているそうです。

 日本ファッション・ウィーク推進機構の目的には「繊維・ファッション産業の国際競争力の強化」とともに「東京を世界の繊維・ファッション基地に確立するとともに、アジアの中心的なファッション発信拠点にすることを目指す」と明記されています。

 来年は東京オリンピックが開かれます。世界中から大勢の人々が来日します。日本発のニュースも増えることが間違いないでしょう。そうしたオリンピックイヤーに向けて、ファッションでも日本発の「TOKYO」を強力に発信してもらいたいと思います。                   

(聖生清重)