FISPA便り「アパレル販売員の意識」

 人手不足が多くの産業で伝えられる中、アパレル産業界も同様の課題を抱えています。なかでも、販売の第一線に立つアパレル販売員は採用が容易ではなくなっていると言われています。そんな中、アパレル販売員を対象にした意識調査が発表されました。

 調査は、総合人事・人財サービスのアデコが、今年7月にネット上で実施したもので、アパレル販売員として勤務歴1年以上の20~30代の男女400人(女性348人、男性52人)から回答がありました。

 アパレルの仕事をしている理由を聞いたところ、最も多かったのが「ファッションが好きだから」で62.5%。次いで、「接客の仕事が好きだから」(44.5%)、「自分に向いていると思うから」(40.8%)、「やりがいを感じる仕事だから」(37.5%)となっています。

 「ファッションが好き」で「接客仕事も好き」な人が多い結果になっていますが、ならば、「やりがいを感じるとき」はどんなときなのでしょう。最も多かったのが「店舗全体の売り上げが伸びたとき/目標を達成したとき」(68.0%)で「個人の売り上げが伸びたとき/目標を達成できたとき」(48.3%)を大きく上回っています。同社は「アパレル販売員の多くは、個人の成績より店舗全体の売り上げ増加や目標達成に重きを置いている」とコメントしていますが、ちょっといい話ではないでしょうか。

 年収はどうでしょう。「200万円台」が最も多く、42.5%。次いで、「300万円台」(25.5%)、「100万円台」(13.0%)、「400万円台」(10.8%)となっています。
「働く環境や働き方、就業条件に関する満足度では、「人間関係」(79.0%)、「残業時間」(74.0%)、「1日当たりの勤務時間」「勤務形態(固定制・シフト制・休日など)」(71.1%)が高い結果でした。一方、不満足では「給与」(76.6%)、「キャリアに関する将来性」(66.5%)となっています。「キャリアを積んで給与も増やしたい」と思っている販売員が多い結果はどう受け止めるべきでしょうか。

 「今後もアパレルの仕事を続けたい」という人は75.5%。しかし、そのうち78.8%が「条件が整えば続けたい」と回答。理由は「給与が低いから」(68.9%)が最も多く、次いで「休日が少ない/希望が合わない」(42.0%)、「勤務スケジュールや休日が不規則だから」(40.3%)を大きく引き離しています。

 各種調査結果を読みとる際、例えば「賛成70%・反対30%」の場合、70%も賛成しているか、30%も反対しているか、議論が分かれるところですが、そうした見方はともかくアパレル販売員の意識調査からは「続けるためには給与改善を」が最も実態を映していると言えそうです。

(聖生清重)