FISPA便り「一日10笑と世界のジョーク」

 コロナ禍では、普段以上に気分が落ち込む日が多いのではないでしょうか。人によって落ち込み度合いは異なるし、落ち込んでいる時間も、さまざまでしょう。落ち込んだ時、人はどう対処するのでしょう。これもさまざまでしょうが、「落ち込み」の良薬のひとつに「笑い」があるのではないか、とかねて思っています。

 コロナ感染に伴う緊急事態宣言は9月末で解除されました。今後もマスク着用など感染対策を継続する必要がありますが、移動と共食(人数、時間の制限がありますが)という、人が人らしく生きる上で必須の行動が再開できることは何よりです。

 コロナ感染症との戦いに一息つけた今、日ごろ考えていた「笑い」について、改めて考えされられる短歌に出合いました。新聞のコラムで知ったのですが歌人の高野公彦の作品です。

一日に三食、十笑、三千歩。十笑あらず一人暮らしは 

 テンポも語呂も良いのですぐに覚えることができました。同時に「そうか。これこそ、無理せずにできる健康法だな」と、ひそかに実践することを決意しました。ところが、です。「3食」と「3000歩」は、何とかクリアできそうですが「10笑」は、実にハードルが高い。一日に10回、笑うことがある人は少ないのではないでしょうか。一人暮らしの方は1笑しない日もあるでしょう。

 笑いのない暮らしは心の健康に良くない。ならば、と改めて笑える本をめくってみました。「世界のジョーク集 令和編」(中公新書ラクレ)です。その中の「マスク政策」と題したジョークはこうです。

  コロナ禍において、各国の政府が国民にマスクの使用をもとめることになった。
  アメリア政府はこう発表した。
  「マスクをすればあなたは英雄です」
  ドイツ政府はこう発表した。
  「マスクをするのがルールです」
  イタリア政府はこう発表した。
  「マスクをすると異性にモテます」
  日本政府はこう発表した。
     「みんなマスクをしていますよ」 

 各国のお国柄を表現したものですが、世界のジョーク集の「笑い」は、このマスク政策もそうですが、笑いでも「苦笑」が多く、苦笑した後に考えさせられるものが多いように思えます。とは言え、日々の暮らしに、極力、笑いを取り入れたいものです。                    

(聖生清重)