FISPA便り「経営幹部の悪癖」

 去る10日の夕刻、ファッション産業人材育成機構(IFI)の「IFI繊維ファッションビジネス研究会」が開かれました。元経産省製造産業局長で現在日本アイ・ビー・エム特別顧問の平工奉文さんが講師で「IT技術の最新潮流と経営改革」と題して講演しました。

 平工さんは「経営者は守りのIT投資から攻めのIT投資」へと切り替えており「2013年のIT市場は、クライアント/ザーバー技術を活用した第2のプラットフォームからモビリティー、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術を活用した第3のプラットフォームへのシフトが加速する」とIT技術の潮流を指摘しました。その上で、スマートフォンの普及で消費モデルが根本から変わりつつあること、バーチャル試着システムなどが実用化されていることなど、IT活用の最新事情を紹介してくれました。

 一方、平工さんが最後に「付録」で付け加えた「ゴールドスミス氏がまとめた経営幹部の悪癖」が、ニヤリとさせられる面白さだったので紹介します。フォードモーターCEOや世界銀行総裁などにコーチングした、マーシャル・ゴールドスミス氏がまとめた「経営幹部の悪癖」は20項目ありますので、すべてを紹介できませんが、悪癖のワースト10を見るとこうなっています。

①極度の負けず嫌い ②何か一言価値をつけ加えようとする ③善し悪しの判断を下す ④人を傷つける破壊的コメントをする ⑤「いや」「しかし」「でも」で文章を始める ⑥自分がいかに賢いかを話す ⑦腹を立てている時に話す ⑧否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う ⑨情報を教えない ⑩きちんと他人を認めない。

 平工さんは、この戒めを自らに言い聞かせているそうですが、さて、このコラムを読んでくださっている貴兄、貴兄の上司は、果たしていかがでしょうか。ちなみに悪弊の⑪-⑳番には「責任回避をする」とか「人の話をきかない」もありますし、⑳番目は「私はこうなんだ」と言いすぎる、です。

 「悪弊はない」と断言できる経営幹部の方は、本物の神様のような方かも知れません。                         

(聖生清重)