FISPA便り「流行語大賞のちょっといい話」
去る1日、「2022ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。世相を反映した言葉を選ぶ新語・流行語大賞は、毎年、楽しみにしています。まさしく、その時代の世相を見事に反映した言葉が選ばれるからです。その一方では、不覚にも知らない言葉がトップ10に選ばれていて、わが身の情報不足と言うか、興味が薄い分野への無関心を反省するのが常なのですが…。
すでにご承知だと思いますが、2022年の年間大賞は「村神様」でした。ヤクルトスワローズの村上宗隆選手にファンが付けた呼び名ですが、史上最年少での三冠王ですから大賞にふさわしいと言えるでしょう。プロ野球人気は、最近はサッカーに押され気味だと言われますが、どうしてどうして、昨年の「大賞」もプロ野球の「リアル二刀流/大谷翔平選手」でした。2年続けてプロ野球から選ばれたのですから、野球人気は衰えていない、と言えるでしょう。
北海道日本ハムファイターズのファイターズガールによる応援ダンス「きつねダンス」もトップ10に入っています。「プロ野球強し」といったところです。
トップ10には「キーウ」も選ばれています。世界における2022年の重大な出来事で、何年か先に、2022年を振り返った時、この言葉と共に時代の状況を思い出すのではないでしょうか。首都の名前が一夜にしてロシア語読みの「キエフ」からウクライナ語読みの「キーウ」に変ったことは、それだけウクライナへの連帯感が強いことを証明しているのではないでしょうか。
「国葬儀」、「宗教2世」も、考えさせられる出来事が多かった2022年の世相を反映しています。が、その一方では、コロナ禍3年目の2022年の「ちょっといい話」も選ばれました。選考委員特別賞の「青春って、すごく密なので」です。高校野球の夏の甲子園大会で東北勢初の優勝に輝いた、宮城県代表の仙台育英高校の須江航監督がインタビューの際に述べた言葉です。
「密」の回避は、「マスク」とともにコロナ感染対策にとって最重要であることは知れ渡っています。しかし、「密にならざるをえない」、「密になりたい」のは人間の本能でしょう。しかも、今年の高校3年生は高校時代のすべてをコロナ禍で過ごしています。そんな時代での須江監督の発言は、多くの方の共感を呼びました。筆者も共感しました。
そうか、この選考委員特別賞も「野球」分野ですね。この原稿を書いていて気づきました。トップ10に入っている「知らんけど」と言わずに「野球」による話題提供にも特別賞を贈りたい気分です。
(聖生清重)