FISPA便り「チーム力+個々の力」

 日本ファッション・ウイーク推進機構(JFW)、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)など、ファッション関係の8団体が「日本ファッション産業協議会」(JFIC)を発足させました。メンバーはJFW、JAFICのほか、日本靴下協会、日本ジーンズ協議会、日本ニット中央卸商業組合連合会、日本ハンドバッグ協会、日本フォーマル協会、関西ファッション連合で、今後も組織を拡大してゆく考えです。

 初代会長に就任した三宅正彦JFW理事長は「国内は内需低迷の悪循環に陥っており、グローバル需要の取り込みと産業構造の転換が不可欠。企業・団体の垣根を越え、日本の総合的な力を結集し、世界に発信することが重要だ」と述べていますが、まったくその通りでしょう。情報発信力、発言力ひとつをとっても、個々ばらばらより、「三本の矢」の例えではありませんが、一つに集結した方がパワーアップすることは間違いありません。

 新組織は今後、「メード・イン・ジャパン」のブランド化、認証制度の確立、人材育成、国際標準対策、海外展開、政策提言、国際交流などに取り組む方針です。いずれのテーマも難度が高いものばかりですが、どれもが重要なものばかりです。

 JFICの発足に水を差すつもりは毛頭ありませんが、大きな課題をひとつだけあげたいと思います。サッカーに例えれば、W杯で上位を目指すためには、チーム力の向上と選手個々のレベルアップが揃う必要があるということです。日本のファッション産業が一致団結して、日本ファッションをグローバル市場に発信し、需要を取り込むためには、JFICが打ち出した事業計画を着実に推進する一方、個々の企業が国際競争力を強化する必要があると思います。

 JFICの中核団体のJAFICの会員企業は、かつて「マルドメ」とか「KDD」と揶揄されました。前者は「まるでドメスチック」、後者は「勘と度胸とどんぶり勘定」です。もはや、こうした揶揄は過去のものでしょうが、もし、そうした風土が残っているとしたら、JFICの発足を契機に完全に払拭すべきでしょう。

 チーム力と個々の強さの向上を願って、JFICの今後に声援を送りたいと思います。 

  (聖生清重)