FISPA便り「文化学園90周年とYさん」
文化学園創立90周年記念祝賀会が先ほど、同学園で開かれました。文部科学省幹部、清家篤・慶應義塾大学塾長、白井克彦・前早稲田大学総長等、錚々たる来賓の姿が“発展する文化学園”を集まった大勢の関係者の胸に刻んだ祝賀会でした。
筆者は、学生のファッションショーを見て、祝賀会に出席しましたが、この間、Yさんのことを考えていました。Yさんは、ファッションビジネスに携わる70歳を超えた韓国の女性です。30年以上前に初めてお会いし、以来、年に1回は東京かソウル、アジアの他の都市で交流を続けてきました。
何故、文化学園90周年とYさんなのか。そう、Yさんは、文化学園の卒業生です。そのため、日本語が達者で、だからこそ筆者は交流を続けることができたのですが、Yさんの長いファッション界での足跡は、根っこの部分で韓国ファッション産業の発展と人材育成に貢献するものだったと思われます。その基礎は文化学園で学んだものです。
文化学園は、大正12年(1923)、日本初の洋装教育の各種学校として、前身の「文化裁縫学院」から「文化裁縫女学校」に改称して創立。大きな転機となったのが「創立30周年に客として招かれたのが、その5年後にまさかの理事長になった」と語る現理事長の大沼淳さんの類いまれな手腕です。幾多の変遷を経て、今日では文化学園大学、文化ファッション大学院大学、文化服装学院、文化外国語専門学校を擁するファションビジネスの総合的な学問と人材育成の府として不動の地位を築いています。
大沼さんはあいさつで「100周年に向かって、グローバル下に対応し国際社会で肩を並べる、絶えずイノベーション(革新)を通じて服飾教育を行う、クリエーション人材の育成を目指す」と述べました。この3つの基本方針はこれまでもそうでした。グローバル化では、Yさんの活躍がその証明です。Yさんだけでなく、多くの文化学園OBが、国際的なファッション関係の展示会で「私は、文化で学びました」と話しかけてくれます。
文化学園の90年は、日本のファッション産業だけでなく、アジアのファッション産業にも多大の貢献を果たしたと思います。
(聖生清重)