FISPA便り「『AFFタイ・バンコク大会』から⑤ 和食とファッションでアジア市場へ」

 ファッション情報の世界同時性が高まり、各国地域でFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)が結ばれるグローバル時代。なかでも、経済成長が著しいアジアを市場としてとらえた戦略が必要性を増しています。国内の少子高齢化は言うまでもないでしょう。

 アジア市場への進出。日本ブランドのタイでのアピールはすでに触れましたが、タイ・バンコク大会で日本代表としてコレクションショーを行った「ターク」(森川拓野)のオリジナルな刺繍を施したテキスタイルを使用して、かつ完成度の高いメンズウエアを含めて、どうしたら日本ファッションをアジアに浸透させることができるのでしょう。

 そんな思いでタイ大会に参加して、最も印象的だったことは日本食の爆発的なブームです。日本貿易振興機構の資料によりますと、タイにおける日本食レストランは、全国で2007年3月には745店(内、バンコクは555店)だったのが2013年4月には1806店(内、バンコクは1241店)に増加しています。近年は、年間1-2割の伸び率で増えています。

 実際、バンコク中心部の代表的な商業施設であるサイアムセンターで見たフードコートでは、日本食ブームを見せつけられました。足を運んだ時間が午後2時半頃だったにもかかわらず、居酒屋風の日本食店のほか、回転寿司、うどん、ラーメンなど日常的な日本食レストランはほぼ満席の賑わいでした。

 タイ人400人を対象にしたアンケートによりますと、日本料理が好まれる理由は「見た目がきれいでヘルシー(健康的)、おしゃれだから」。もちろん味も気に入られています。

 この日本食ブームを目の当たりにして以降、日本ファッションのタイ進出はもとより、アジア全域や世界への進出に際しては、「和食」と「ファッション」を一体的にアピールすることが必要ではないか、と思い込んでいます。韓国が韓流ドラマやスターを先頭にファッションや化粧品を売り込んで、それなりの成功を収めている例も想起しながら。

 そうです。そもそも日本ファッション協会は、80年代に「これからは繊維産業のみならず、生活文化すべてをファッションと定義する」との五島昇日本・東京商工会議所会頭(当時)の宣言を背景に、発足した東京ファッション協会と日本ファッション協会が1989年に統合した団体です。 

  (聖生清重)

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