FISPA便り「今治タオルの挑戦」
東京に相次ぐ「今治タオル」ブランドショップ
今春、東京・日本橋にオープンしたコレド室町2。その3階に「今治タオル」だけを集積したタオルショップ「伊織」があります。春らしくカラフルなタオルが並ぶ同店の運営は松山市の(株)エイトワン。同社HPによりますと、創業は2006年と若く、ホテル・旅館業、小売り、飲食業、不動産などを手掛けています。ちなみに経営理念は「心からの感動をクリエイトする」です。
タオルショップ「伊織」は、世界にはばたく「伊予」の「織物」を皆様に届けるために開設。ショップは、四国の道後本店以外に鎌倉、浅草、自由ヶ丘、大阪、神戸、京都、博多、仙台など主要都市に展開しています。タオル業界は、一広、内野の大手と「今治タオル」への寡占化が進行していますが、大手はともかく産地の中小メーカーも「メード・イン・ジャパン」で健闘しています。コレド室町の「伊織」では、今治のタオルメーカー約20社弱の製品を扱っているそうです。
一方、去る3月18日には、東京・表参道の骨董通りに「IKEUCHI ORGANIC」東京ストアがオープンしました。「風で織るタオル」で有名な1953年創業の今治のタオルメーカー、池内タオルが社名、ロゴを一新して開設したフラッグシップショップで、事務所も併設しています。
同社は、2000年代初めにニューヨークのギフトショーでニューベスト賞を受賞するとともに当時の小泉首相が視察したことなどで知名度を一気に高め、脱・下請け賃加工の旗手としてもてはやされましたが、取引先である問屋の経営破たんから民事再生法の適用を申請する苦労を経験しました。
しかし、その後、見事に再生し、東京にフラッグシップショップを開設したのです。商品は、すべてオーガニックコットンで、生産する動力は環境負荷の少ない風力発電を利用しています。商品の「オーガニックエアー」は、バスタオルの場合、重さがわずか160グラム。羽毛のようにかるく、肌触りは限りなくやさしいのが特徴です。
今後の目標は、プレミアムホテル向けなどの業務用への販路開拓、売り上げの3割を占めていたものの途絶えている輸出の復活などです。
(聖生清重)