FISPA便り「SC大会で存在感増すJR各社」

冷たい雨がそぼ降る先日の1月21日、横浜市のパシフィコ横浜で23日まで開かれた「SCビジネスフェア2015」をのぞいてきました。ショッピングセンター(SC)最大のイベントとしてすっかり定着しているビジネスフェアの会場は、今にも雪が降り出しそうな外部の寒さとは裏腹に熱気にあふれていました。

会場は、デベロッパーゾーン、テナントゾーン、関連企業ゾーンに分かれていましたが、目立ったのはデベロッパーゾーンのJRグループ各社と財閥系企業、テナント、関連企業ゾーンでは初出展企業でした。

JRグループは、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州駅ビルがそれぞれ広いスペースで自社の魅力をアピール。三井不動産、三菱地所など財閥系各社もイオングループなど、いわば小売業の専門企業と覇を競うかのように来場者を集めていました。

会場を回りながら思ってことは「JRは、かつて日本国有鉄道」だったことでした。まさに「国家」の事業でしたから、人材も資金も豊富でしょう。それが、民営化後、豊富な人材と資金に加えて何百万人もの人が集散する「駅」という小売業にとって最重要な要素である立地を生かして複合的な商業施設を運営し、ルミネに代表されるように「新しい商業施設の一方の雄」に成長してきた歴史でした。

総売上高が27兆円に達するSC業界。だからでしょうか。初出展企業も目立ちました。ブースには「初出展」と記されていましたので一目瞭然でしたが、飲食業や雑貨を扱う各社も最良な施設との出会いを期待しているように思えました。

ビジネスフェアと隣接の別会場で行われた、数多くの有料、無料セミナーも第一線で活躍する講師陣の講演やパネルディスカッションに大勢の来場者が足を運んでいました。進化し成長するSC業界を象徴すると言ってはほめすぎでしょうか。

蛇足ながら、前身が「国有」だったJR各社には、生産規模の縮小が止まらない「メード・イン・ジャパン」のファッション製品にも意を配っていただきたい。国家・国民のために、と願いながら会場を後にしました。

(聖生清重)