FISPA便り「AFFベトナム・ハノイ大会報告①年次大会方式を発展的に解消」
去る11月24-26日に開かれたアジアファッション連合会(AFF)ベトナム・ハノイ大会は、エポックメーキングな大会となりました。2003年12月に日本で発足し、以来12年間、加盟各国持ち回りで開いてきた「年次大会」を軸とした運営を発展的に終了し、AFFの枠組みは維持するものの今後は、各国の自由度を増した運営に転換することが決まりました。
AFFの目的は、相互理解・相互交流、アジアファッションの世界への発信、ビジネス促進の環境整備などです。この目的に向かって、日本、中国、韓国の北東アジア三ヵ国で発足しました。その後、シンガポール、タイ、ベトナムが加盟し、活動領域はアジア全域へと広がりました。
各国持ち回りで、年に1回開催してきた年次大会の内容は、各国委員長による「委員長会議」、各国若手デザイナーのファッションショー、セミナー、展示商談会視察や博物館など関係施設の見学、レセプションやロビーでの交流です。
今回のハノイ大会で、年次大会開催は加盟六ヵ国が二巡したことから、発足メンバー国である日本の平井克彦・日本委員会委員長が「AFFの発展的解消」の意向を表明しました。これに対して、各国から「改革には賛成だが、AFFの枠組みは存続させたい」との意見が強く出され、協議の結果、AFFは存続させ、活動内容を①AFFウェブサイトは継続する②委員長会議を年1回オンラインで行い、二年に1回は一堂に会する会議を開催する③若手デザイナーのファッションショーはデジタル化することを検討する④セミナーなどのイベントは主催国の裁量とし参加するか否かは自由とする、などに変えることで合意しました。
日本の主張の背景には、AFFの窓口団体である日本ファッション協会の趣旨が「生活文化の振興」にあり、狭義のファッション産業に傾斜した活動とそぐわなくなったという点もありますが、これまでの活動で当初の目的は達成し、今後、ビジネスの促進には新たな枠組みや各国の対応が必要だとの判断が働いたものと見られます。
アジアファッションを世界に-とのアジア共通の夢の実現については、なお、長い時間が必要でしょう。しかし、AFFの活動を経て、相互理解・相互交流が定着し、過去の大会でショーを行った若手が順調に育っていること、ファッション産業では発展途上のタイやベトナムもファッション産業の水準が確実に上がっていることなどで、当初の目的はそれなりに達成できたと思います。
(聖生清重)