FISPA便り「AFFベトナム・ハノイ大会報告⑤緩やかな連合体へ移行
アジアファション連合会(AFF)は、これまでの年次大会方式から、「緩やかな連合体」に移行して「各国が自由度を増した活動」(平井克彦・日本委員会委員長)に転換することが決まりました。
筆者は、AFFの大会に12回連続して参加してきました。12年の歩みを振り返ると、日中韓の三ヵ国がメンバーだった頃、三ヵ国のカラー(色彩)を共同研究したことが印象に残ります。将来は、「アジアカラー」を世界に発信できるのではないか、との予感もありました。
加盟国が三ヵ国から六ヵ国に拡大した後は、2009年のベトナム・ハノイ大会のセミナーで講師を務めた「まとふ」の堀畑裕之・関口真希子氏の講演が画期的だったと思います。両氏は、欧米発のファッションが世界のファッション産業を主導している現状に対して「各国・地域のオリジン(起源)に敬意を払ったデザイン」の必要性を強調しました。
欧米の追随では、いつまで経っても欧米を抜くことはできません。だからこそ、各国・地域の歴史や文化に敬意を払ったデザインを創造することが大事だ、との主張は加盟各国のファッション産業関係者の感銘を呼びました。アジアにおけるファッションデザインの基調になるものでAFFの確かな成果のひとつだと思います。
若手デザイナーの育成では、すでに東京ファッションウィークにアジア各国の若手が参加しています。こうしたアジアとの交流にもAFFが、一定の貢献を果たしたことは間違いありません。相互に市場参入を希望する場合も、AFFで構築した窓口同士が各国で開かれる展示商談会への出展やバイイングで主催者への紹介などの支援を行うことが容易になりました。相互理解・相互交流の見えざる成果でしょう。
次回、開催は2年後2017年の中国です。その次は2019年の韓国、2021年の日本です。各国が各国の判断に応じてどのような事業を行うか、は各国の裁量にまかされます。その一方で、例えばタイは、日本との関係強化を望んでいます。タイのファッション産業の高度化に向けて、日本が何らかの協力を求められるケースがでてくるかも知れません。あるいは、AFF加盟六ヵ国が各国のニーズにそって二ヵ国、三ヵ国で実質的な協働ワークを行うことも考えられます。
最後に、AFFで感じたことは、アジアのファッション産業界で日本のファッション産業はフロントランナーだということです。今後とも、フロントランナーらしい走りを期待して「AFFハノイ大会」報告を終わります。
(聖生清重)