FISPA便り「小池知事、東京をファッションシティに」
今月11日夜、都内のホテルで開かれた、日本アパレル・ファッション産業協会(廣内武理事長)の恒例の賀詞交歓会は、ファッションアパレル産業の厳しい現況を映しながらも、その打開への意欲と次の発展に向けての方向性を示す場になったと思います。
あいさつで、廣内理事長は「内閣府の昨年12月の消費動向調査で、消費者心理を表す消費者態度指数が3年3カ月ぶりの高水準になったように、(生活者は)美味しいものを食べて、おしゃれも楽しもう、との心理に変わりつつある。いまこそ、業界人は元気を出す必要がある。2月24日からのプレミアム・フライデーともしっかりコラボレートする。需要創造・市場拡大のチャンスだ。一方、元気を出すためには東京ファッションを発信するミラノサローネのような“お祭り”が大事だ」と述べました。
会場には、小池百合子東京都知事が駆けつけていました。廣内理事長のあいさつの最後は、当然、知事を意識したものだと思われますが、来賓として早速、登壇した小池知事は「(環境大臣時代の2006年夏の)クール・ビズキャンペーン以来、ファッション業界とは一心同体です。訪日外国人が日本のブランドを買って帰って自慢できるように、東京のファッションを盛り上げるお手伝いをしたい」と明言しました。
小池知事は、東京オリンピックの組織委員会が販売する、公式エンブレムの藍色の市松模様をあしらった風呂敷をスカーフとして首元に飾っていました。お世辞抜きに似合っていました。アパレル産業と連携して、鳥の目で世界の中の日本、世界の中の東京との気持ちをもってすばらしい一年にしたい」と締めくくりましたが、全体に「東京をファッションシティにしたい」との思いを感じさせるものでした。
とは言え、大西洋日本百貨店協会会長が、個人的な見解だと断ったうえで述べた「消費は厳しいのが現実。消費者のニーズ、ライフスタイルに対応できていない。もう一度、糸へん(ファッションアパレル)を立て直すとの気構えが大事だ。今だからこそ、服の売り場を縮小するのではなく、皆で価値を提案することが重要だ」との見方が現実でしょう。
そうした厳しい現実だからこそ、その現実を乗り越えて、東京オリンピックに向けて、東京を「ファッションシティ」にする。そのために政府、東京都、産業界が足並みを揃えて必要な方策を講じることを期待したいと思います。
(聖生清重)