FISPA便り「時代の今を映したSC大会」

 日本ショッピングセンター(SC)協会主催の「SCビジネスフェア2017」が25日から27日まで、横浜市のパシフィコ横浜で開かれました。恒例の大会は、ディベロッパー、テナント、サポート企業が出展するSCビジネスフェアを核に有料・無料セミナー、交流パーティー、接客ロールプレーイングコンテスト、学生向けの業界研究イベントで構成されています。

 ビジネスフェアの会場を回り、実行委員会幹部や出展企業に話を聞きましたがその結果は、今と言う時代を色濃く反映したものでした。出展企業では、JR東日本などJR各社、日本郵便といった旧国営系企業と三井不動産、三菱地所などの財閥系、東急、東武などの電鉄系が大きなブースを構えていましたが、これはいつもの光景です。そんな中で今回は、東急グループが渋谷の再開発後の姿をジオラマで見せていたのが印象的でした。

 テナントゾーンに目を転じると、全体に出展が低調で、なかでもアパレルファッション企業の出展が少なかったのが印象に残りました。アパレル消費の不振が長引いており、そうした厳しい状況がここにも反映しているのでしょうか。

 一方、サポート企業ゾーンは、IoT(モノのインターネット)の波が押し寄せていることを感じさせました。例えば、話題のAI(人工知能)。人工知能を使って、来客人数、来店客の年齢・性別、入店率、回遊状況などを把握する技術をアピールしていたブースもありました。

 ファッションとテクノロジーを融合した「ファッションテック」なる用語は、すでに業界に定着しています。消費者の好みまでAIが引き出し、そのデータに基づいて一人ひとりの消費者に商品を即時に届ける、と言った夢のような構想がありますが、それが一気に実現しないまでも、今後、AIを含むファッションテックがファッション業界にも大きな変革をもたらしそうです。

 新技術が変革をもたらしつつある現代。その一方では、人材紹介・育成と仏壇販売業者が出展していたのも時代状況を反映していて妙に納得させられました。前者は、言わずと知れた特に販売員の人手不足、後者は高齢化社会を反映したものでしょう。

 ちなみに、2016年の新規開業SCは54、前年の60SCには及ばなかったものの、引き続き増加しています。特徴は、都市部のSCの多くが「コト消費」を重視している点にあるそうです。 

          (聖生清重)