FISPA便り「馬場会長、母校の名誉博士に」
当コラムは、今回で200回目です。と言うことで、繊維ファッションSCM推進協議会会長である馬場彰さんに登場していただくことにしました。オンワードホールディングス名誉顧問で、繊維ファッションSCM推進協議会会長である馬場彰さんが、去る2月16日に母校の横浜市立大学から名誉博士号を授与され、その授与式が行われたのです。
馬場さんのこれまでの人生の軌跡は、2013年2月に掲載された、日本経済新聞の「私の履歴書」に詳しいので、多くは触れませんが70年代の日本のアパレル産業の成長期にあって、オンワード樫山をリーディング企業に育てる一方、日本アパレル産業協会(現日本アパレル・ファッション産業協会)理事長など業界団体の要職を歴任して、アパレル産業の発展に大いに貢献したことは繊維ファッション業界人なら、先刻ご承知の通りです。
その馬場さんは、大の映画好きで、プロの映画評論家が務まるほど造詣が深いことも知られています。読書好きでもあり、愛読書のひとつが杉本苑子の「孤愁の岸」であることは、2013年3月1日付の当欄でも触れましたので、ご記憶の方がいらっしゃるかも知れません。
さて、名誉博士です。横浜市立大学は、人類の学術文化の発展と交流に多大な業績を挙げ、教育研究に寄与した功績が顕著であると認められ、本学および横浜市との関わりが深い方に対し、名誉博士の称号を授与しています。
馬場さんは、企業人としての多くの功績と同時に、社会貢献事業では、全国の小学校・公立図書館に約2万5000冊の図書を寄贈するなど教育支援に尽力しています。こうした功績から2008年秋には旭日重光章を受賞しています。
横浜市立大学では、2007年には国際総合科学部の授業「ファッションビジネス戦略Ⅰ」で講師を務めるとともに、同窓会の常務理事、副理事長、後援会長として強いリーダーシップを発揮しました。2003年の創立75周年記念事業では、寄付募集を牽引し、学生、教職員、地域の方の学修環境の場になっている「いちょうの館」の建設に尽力されたとのことです。
こうした、様々な貢献が評価されての名誉博士号の授与ですが、授与式に参列した繊維ファッションSCM推進協議会の阿部旭専務理事によりますと、馬場さんはいつになく神妙な表情で名誉博士号を受けたそうです。
ちなみに、馬場さんの感想は「(名誉博士号を)まさか、いただくとは思わなかった。(いただけたのは)皆さんのおかげ」。いかつい風貌(失礼!)に似合わず、シャイな馬場さんらしい一言だと思います。
(聖生清重)