FISPA便り「キャラクター捕獲ゲーム型」
日本生産性本部が毎年、発表している新入社員のタイプ。2017年度は次のようになっています。
「キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)できたようだ。一方でレアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNSを駆使して情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。必死になりすぎて、うっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬよう注意が必要だ。はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向(早期離職)も。モチベーションを維持するためにも新しいイベントを準備して飽きさせないような注意が必要(やりがい、目標の提供)」。
今春の就職戦線も来春入社の就職戦線も「売り手市場」のようです。学業を終えて社会に出る学生にとっては、良き時代だと言えますが、企業によっては優秀な新入社員はおろか、必要な人員の確保に頭を悩ませているところもあるのではないでしょうか。そんな現代にあっての新入社員のタイプである「キャラクター捕獲ゲーム型」は、「なるほど」と納得できるでしょう。
新入社員と言えば、かつて「五月病」なる“病”が話題になったことを記憶している方も多いでしょう。地方から東京の大学に入った学生が「五月病」に罹患し、家族を心配させたものです。新入社員もそうでした。生活環境が変わり、その変化に適応できずに、精神的に落ち込む「五月病」は、最近は、耳にしません。若者の環境変化への対応力がついたのでしょうか。
しかし、その一方では、会社の規模の大小にかかわらず、一定の比率で心の病に冒される人が存在すると言われています。新入社員に限ったことではなく、キャリアのある人も例外ではないと言われます。
企業にとって競争は避けられるものではありません。しかも、その競争はグローバル化しています。企業間、個々人の競争だけでなく、国家間の競争も激化しています。競争は心の病の一因かもしれませんが、競争は常態でもあるのだと思います。
日本生産性本部は、「キャラクター捕獲ゲーム型」の発表文でこう締めています。「世界を股にかけて活躍して欲しい」。そのためにも、新入社員に限らず、誰もが心の健康維持に努めていただきたいと念じています。
(聖生清重)