FISPA便り「アジアファッション交流」

アジアファッション交流、平井さんの苦楽 

アジアファッション連合会(AFF)という組織の知名度は、残念ながら高いとは言えません。ですが、すでに8年の歴史を刻み、日本をはじめとするアジア6カ国のアパレル・ファッション関係者が着実に交流を深めています。その先頭に立っているのが日本ファッション協会副理事長でAFF日本委員会委員長の平井克彦東レ相談役です。 

AFFは、2003年に日本、中国、韓国の3カ国のファッション業界団体が、各国の生活文化の相互理解、アジアファッションの世界への発信、ビジネス交流の促進を目的に結成した国際組織です。その後、シンガポール、タイ、ベトナムが加盟し活動範囲がアジア全域へと広がりました。 

活動は、年1回各国持ち回りで開く年次大会が中心です。各国の代表が事業方針を決定するトップ会談、ファッション事情やトピックスを報告するセミナー、各国を代表する若手デザイナーの競演などの公式行事のほか、晩さん会やコーヒーブレークでの交流が行われています。 

AFFの2011年大会が10月12日から3日間、韓国の大邱市で開かれました。ベトナムは不参加でしたが加盟5カ国の代表が、AFFウェブサイトを開設することで合意しました。同時に、日本や中国が開催している既存のアパレル製品の展示商談会に相互の若手デザイナーブランドが出展できるように支援することを検討することで共通認識が得られました。 

「21世紀はアジアの世紀」と言われます。EUの一部の国の財政不安、米国の若者の格差反対のデモなど世界情勢は不安の様相を呈していますが、アジア経済は相対的に見れば成長を続けています。そんなアジアにあってAFFは「アジアファッションを世界に発信しよう」との共通目標に向かって一歩一歩前進しています。

AFF発足以来、AFFをリードしている平井さんは、AFF活動を「苦楽半々」と感じているのではないでしょうか。来年の大会は日本です。大勢の業界人が参加してアジアファッション交流を深めてもらいたいものです。

(聖生清重)