FISPA便り「日本アパレルの新たな挑戦」

日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)が、今年度から新たな事業をスタートさせました。「JAFIC PLATFORM(PLF)」と呼ぶ、会員企業とデザイナーのマッチングを支援する事業です。そのキックオフイベントが5月27日夜に東京・白金の八芳園で開かれ、会員企業から132人、デザイナー166人のほか、学校関係者、プレスなど総勢約389人(うち、女性が約100人)が集まり、大いに盛り上がりました。 

「JAFIC PLF」は、クリエーションを向上させたいアパレル企業とビジネス拡大を望むデザイナー双方のニーズを汲み上げて、JAFICの「次世代マネジメントの集い」(実行委員長・畑崎充義ワールド社長室企業戦略推進部長)の活動から生まれたものです。日本のアパレル産業は、国内市場の縮小、海外展開難で閉塞感に覆われているのが実情です。それだけに、JAFICの新たな試みをきっかけに日本ファッション産業を何とか盛り上げたいとの期待感が高まっています。 

キックオフイベントで、廣内武JAFIC理事長は「ブリッジベターゾーンを対象にする日本のファッションアパレル産業には閉塞感が漂っているが、JAFIC PLFをきっかけに何とかして盛り上げたい。アジア市場に活路を見出すためにもクリエーションに携わる方の力が必要だ。中国、韓国、さらにはタイやインドも急速に日本を追い上げている。何もしなければ追いつかれ、追い越されてしまう。そうならないために、新しい組み立てで勝ち残るようにしたい。デザイナーの皆さんは、アパレル企業を踏み台にして世界に飛躍していただきたい」と挨拶しました。

アパレルビジネスにとって、クリエーションはまさしく生命線です。しかし、過去のアパレル企業とデザイナーの連携は、必ずしも成功したとは言えません。理由は双方にありますが、今回の試みでは、過去の失敗の原因を分析して過ちを繰り返さないようにしてもらいたいものです。そうでなければ、廣内理事長が高らかに打ち上げたアジア市場への進出も世界で活躍するデザイナーの輩出も絵に描いた餅で終わってしまうでしょう。  

(聖生清重)