FISPA便り「自腹主義でTXの個性を発揮」

 ファッションに不可欠なテキスタイルの展示会で、個性を発揮している展示会があります。4月21-22日に東京で開かれたTNJ(テキスタイルネットワークジャパン)展がその展示会です。全国産地から技術に自信のある個性派メーカー46社が集まり、アパレル企業のMDやデザイナーなどビジネス目的の来場者のみを対象に12年春夏物の商談を繰り広げました。2日間の来場者は550人に絞り込んでいます。メーカーとバイヤーがじっくり話し込むためです。

 TNJ展は、今回で13年目。当初から行政などの助成は受けず、テキスタイルメーカー有志が自主的に、自腹をきって運営してきました。初期の頃は会場費を安くあげるため、喫茶店を会場にしました。1つの喫茶店に2,3社が出展し、計5つの喫茶店で開きました。来場者には、会場の場所を記した地図を渡して回遊してもらったそうです。その後、広い1つの会場に場所を移し、来場者は1,500人に増えました。しかし、商談を優先するため、「本気で買い、本気で売る」人だけに絞り、最近は出展30-35社、来場者500人強で落ち着いているとのことです。

同展の特徴は、全国のやる気のある個性派メーカーが集合しているところにありますが、「自腹主義」も大きな特徴です。年会費のようなものはなく、展示会経費は頭割り。メンバーは固定ではなく、出入り自由です。出展メーカーは、出展費用を賄おうと各社得意の技術を駆使して開発した最新作を提案し売り込みに努めています。それが商談につながっているそうです。

東京におけるテキスタイル展は、JFW(東京発 日本ファッションウイーク)-JC(ジャパン・クリエーション)を始め、桐生、浜松、石川、福井、尾州、播州、今治など各地の産地展、素材メーカー、専門商社、産地の有力メーカーなども年2回の展示会を開いています。そうした中でTNJ展は、異彩を放っているといえるでしょう。手弁当で同展を手伝い、厳しい講評を行う、「企画屋えぬ」の野末和志さんは「13年続き、成果があがってきたのは、自腹主義だから。しかも、前向きな競争心から継続的に出展しているメーカーのレベルは格段に向上しています」と話しています。

(聖生清重)