FISPA便り「男の魅力は、知性・含羞・ヤクザ性」

 誰かから聞いたのか、何かで読んだのか、忘れてしまいましたが、大勢の人の前での挨拶を求められた際は、最初に「私は、3つ申し上げたい」と言うのがコツだそうです。行政に携わる人、企業や団体の指導者層の方は、あちこちで挨拶を頼まれますから、挨拶に関する何らかの“極意”は必須なのでしょう。

 この話を知ってから、業界団体の会合などで壇上に上る方のあいさつを聞く際「3つ」を気にするようになりました。そう意識して聞いていると、「3つ」もしくは「3点」申し上げたい、といった言い回しは少なくないように思われます。しかし、よく聞いていると「3つ」のはずが「2つ」で終わってしまうこともあります。「3つ」目を話す前に時間切れになってしまったのでしょうか。それでも、その挨拶は、具体性があり内容も濃いように感じられることがあります。

 そんな「3つ」ですが、話は変わって、魅力ある男が備えている「3つ」の要素はなんでしょう。これも、何かで読んだものです。出所、執筆者とも失念してしまいましたが、「3つ」の要素は覚えています。

 「知性」、「含羞」、「ヤクザ性」がそれです。知性は、その通りでしょうが、含羞はどうでしょう。そうです。シャイとも言えますが、含羞に満ちた人柄は確かに魅力的です。深い知性や人間性を表に出さない。含羞は単なる謙虚とも違って、かすかな恥じらいがあるように感じられます。それは、男の色気と言うべきでしょうか。

 もうひとつのヤクザ性。あのヤクザのことではありません。冒険心のことです。冒険心のある男は、男らしく、実に魅力的ですね。最近は制作されていないようですが、一頃流行ったヤクザ映画の魅力は「義理と人情」。このスピリットを持った、冒険心のある男。魅力的ですね。
知性あふれた男。う-ん、それだけではね。ヤクザ性も必要ですが、知性と含羞を兼ね備えていないとね。含羞も知性とヤクザ性を備えた男だからこそ、魅力度を高めるのでしょうね。そうなのでしょう、この「3つ」は、同時にそなわってこそ、価値があるのだと思います。

 さて、筆者ですが、残念ながら「3つ」とも自信がありません。「蛮勇」を発揮したいと思ったことは何度かありますが…  

                            (聖生清重)