FISPA便り「10代が次に求めるもの」
名前と言うものは、不思議なもので、初めて耳にしたり、目にした時、どうにも違和感が感じられても、時が経つにつれ、次第になじんできて、「いやあ、ピッタリだなあ」と感じるようになりますよね。
こうした感覚は、特に、力士のしこ名で感じることが多いと思います。幕内の番付表に載るようになって、初めて目にした時、例えば、「高安」は、「高」はともかく「安」の字が弱そうで、そぐわないような気がしたものです。しかし、力を付けて、大関になると「安」は「安定」を連想させ、大関にふさわしいしこ名だと思えてきます。筆者の勝手な受け止め方かもしれませんが、同意してくださる方も少なくないのではないでしょうか。
さて、元号です。来春、青葉のころに明らかになる新しい元号は、いったいどのようなものになるのでしょう。そんなことを考えていたら、新聞のコラムで現代中高生のやさしさに触れて、いい気分になりました。
ちょっと前なのですが、読売新聞11月2日付けの編集手帳によりますと、読売中高生新聞が全国の中高生2万1000人に平成の次の時代に求めることを聞いたところ、1位「平和」、2位「安全」、3位「安心」だったそうです。戦争のない世の中、自然災害への備えの大切さ、いじめや虐待のない社会になることを願っている中高生が多いことに、いささか驚きました。
そのコラムは「平和、安全、安心の3つは、人の命を守ろうとする点で似通う、やさしい10代がたくさんいると思おう」と結んでいますが、全く同感です。
現代の中高生は、紛争が絶えない国際社会や自然災害の多い日本の社会で生きてゆく上で、漠然とした不安や予期できない恐れを抱いている。その結果が、くだんのアンケートに表れているのでしょうか。結果は、読売中高生新聞編集室の予想を覆したものだったそうで。
さて、新元号です。役所に提出する書類などで生年月日を記す欄の「明・大・昭・平」から「明」(明治)が消えて、時の移ろいをかみしめたことがあります。時代は確実に移ってゆくので、そのうち「大」(大正)が消え、やがては「昭」(昭和)も、「平」(平成)も消えることは間違いありません。時代変化につれて、その時代の10代が次の時代に求めるものも変わってゆくのでしょうね。
そんな10代を含めて、日本人は次の時代に何を求めているのでしょう。「平和」、「安全」、「安心」が上位にランクするのでしょうか。
(聖生清重)