FISPA便り「AFFのフロントランナー」

 日本は、折につけ「アジアのフロントランナー」を自称しています。近代国家の形成から産業の高度化、国民の生活水準と文化の享受など、フロントランナーもしくは「兄貴分」と言ってもよいでしょう。

 ファッション産業では、ファッション企業の集積度、素材開発力、世界レベルの商業施設、教育機関、パリコレで活躍するデザイナーの数、美術館や美しい街並みなどを見れば、アジアで先頭を走っていることがわかります。

 去る7月18日に東京ビッグサイトでアジアファッション連合会(AFF)日本・東京大会が開かれました。2003年12月に東京で日本、中国、韓国の3ヶ国で結成したAFFは、その後、シンガポール、タイ、ベトナムが加わり「アジアファッションを世界に」の目的に沿って、年に一度各国持ち回りで年次大会を開催しています。

 大会プログラムは、トップ会談、各国の若手デザイナーによるコレクションショー、セミナー、レセプション・パーティーなどですが、東京大会では充実したセミナーが話題でした。「粉を振りかけるように自分のニオイを(作品に)振りかける」と話したデザイナーの津森千里さん、日本が誇るテキスタイルの世界を実物展示と解説でアピールした、わたなべひろこ日本テキスタイルデザイン協会会長の講演には味がありました。

 もう一人は廣内武日本アパレル・ファッション産業協会理事長の「世界における日本アパレル・ファッション産業―その市場特性とアジア共生の方向性―」でした。豊富なデータを駆使し、変化する小売り流通、取引形態から成長するアジアファッション市場までを網羅的に説明し、その上で「多様なアジアから生まれた多様なファッションが、世界のファッション市場をより多彩で豊かにする時代が目前に迫っている」と結びました。

 そう。AFF東京大会は、日本がファッションではアジアのフロントランナーであることを証明したと思います。ちなみに、大会委員長の平井克彦AFF日本委員長は、各国AFF委員長の申し分ない兄貴分です。   

(聖生清重)