FISPA便り「道路から鉄路、新道路へ」
車社会の到来に伴って、新たな小売り流通が「ロードサイド」に集積するようになってずいぶん時が流れましたが、21世紀に入ると「ロードサイド」から「レールサイドへ」の流れが主流になってきました。加えて、最近では高速道路や空港といった「新ロードサイド」や「空(そら)中」といった新たな商業施設が人気を集めるようになっています。
小売り流通で長らく王者の座を保ってきた全国百貨店売上高は、1997年をピークに減少を続け、昨年の売上高は6兆円強まで縮小しています。GMSの衣料品販売高も同様に大幅に減少しています。「旧勢力」が衰退する一方で、ルミネに代表される駅ビルや大型SC(ショッピングセンター)、ネット販売などの通販、アウトレットなどの「新勢力」がシェアを高めていることはご承知の通りです。しかし、好調な「新勢力」も熾烈な競争が演じられ、さらに激変する様相を強めています。
「新勢力」の最新状況は、こんな具合です。RBKリテールビジネス研究所代表の飯嶋薫さんによりますと、流通最前線のトピックスは①2012年春に新規オープンしたSCの売上高(計画)は1,200億円で、東京・銀座の3百貨店(三越伊勢丹、松屋、松坂屋)売上高に匹敵する②新東名高速道路の清水サービスエリア商業施設の月坪当たり売上高は80万円で流通業トップの伊勢丹新宿店並み③ネット通販の売上高は4兆6,700億円に急成長したが、安売りの横行で曲がり角に④アウトレットの売上高は、現状の5,500億円で限界と見られており、現に前年割れの施設が出ている、などです。
こうした流通事情で注目される動きは、新東名高速SA・PA13ヶ所・121店舗で人気のショップは「食分野を中心に、産地メーカーと直接取引したショップ」だそうです。新勢力は、「商工一体」のビジネスモデルを導入していると言えそうです。もう1点、気になる動向は、ダイバーシティ東京プラザに出店したブランドは海外ブランドばかりだという現実です。どう受け止めればよいのでしょうか。
(聖生清重)