FISPA便り「道草のススメ」
子供のころ、学校からの帰りに道草を食ったことがない人は、おそらく皆無なのではないでしょうか。いまの子供たちは、塾やプールに英語、ピアノ、サッカーや野球など、放課後も忙しくしているので、道草は死語になっているかも知れません。
放課後にたっぷり時間があった時代の子供たちは、誰もが道草を楽しんだに違いありません。男の子は道端の棒を拾って、棒を剣に見立てて、チャンバラごっこに興じ、女の子なら草花を摘んで首飾りを作ったりしたことを思い出す方は多いと思います。
10連休が終わりました。連休中に、日本は「平成」から「令和」へと時が進みました。平和だったが、災害が多く、経済は低迷し、課題も多かった平成。「令和」は、果たしてどんな時代になるのでしょう。
その令和の始まりに際して、ふと考えたことがあります。連休がとれた人、とれなかった人も、連休明けの「令和」時代は、道草を楽しむことを心がけたらどうでしょう。
通勤の帰りに、普段とは違ったルートで帰る。大都市なら交通網が発達していますから、普段とは異なる電車に乗ってみる。時には途中下車してブラブラ散歩する。おしゃれなカフェがあったら入ってみる。いまどきめずらしい街の本屋があったら入って本を手にとってみる。地方在住でマイカー通勤の場合でも普段とは違ったルートを通ってみる。そして、自然の移ろいを感じたり、郊外にできた新しいショップをのぞいてみる。
そうした道草の時、そこに美術館や博物館があったら、入ってみる。入った先に何があるのか。そこには非日常の世界が広がっているに違いありません。収集癖のある個人の博物館だったら、思いがけない出合いがある可能性もあります。
そうした道草は、惰性に流されている自分を再発見することにつながるかも知れません。忙しさにかまけて忘れていた、大事な何か、を思い出すきっかけになることもあるのではないでしょうか。道草して発見した小さな博物館を鑑賞することでビジネス展開につながる「気付き」が得られるかも知れません。
「令和」に関して、「何か」書こうと思ったのですが、「何か」は「道草のススメ」でした。そうですよね。現役のビジネスマンなら、時代は変わっても道草の行き先は「居酒屋」に決まっていますよね。でも、時には一人で道草をしてみるのも、居酒屋以上に楽しいかも知れません。
(聖生清重)