【経済産業省からのお知らせ】下請取引の適正化について
下請取引の適正化を推進するため、下請法の理解と下請代金支払の適正化、働き方改革、災害時における取引条件、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保等を要請します。
く中小企業の取引環境>
我が国経済は緩やかな回復基調にあり、企業収益の拡大や倒産件数の減少が続くなど、経済の好循環が浸透する一方、度重なる災害をはじめ、人手不足の深刻化、労働生産性の伸び悩みなど、中小企業を取り巻く環境は厳しい面もあります。また、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念され、親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要です。
く下請法の理解と下請代金支払の適正化>
経済の好循環を実現するには、下請等中小企業の取引条件を改善していくことが重要という問題意識の下、政府を挙げて下請対策の強化に取り組んでおり、平成28年12月には、違反行為の未然防止や事業者による情報提供に資するよう、下請法に関する運用基準を改正するとともに、親事業者による下請代金の支払についても以下の事項を旨とした通達を発出しました。
〇下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること
〇手形で下請代金を支払う場合は、割引料を下請事業者に負担させることが ないよう下請代金の額を十分に協議すること
〇手形サイトは、将来的に60日以内とするよう努めること
く働き方改革>
本年4月より大企業に対して罰則付きの時間外労働の上限規制の適用が開始され、来年4月中小企業に対しても同規制が適用されます。人手不足が深刻化している中、中小企業における働き方改革への対応は、重要な経営課題の一つとなっております。政府を挙げて働き方改革を推進しておりますが、取引の一方当事者の働き方改革に向けた取組の影響がその取引の相手方に対して負担となって押し付けられることは望ましくないと考えられます。
そのため、大企業・親事業者による長時間労働の削減等の取組が、下請等中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請などの「しわ寄せ」を生じさせることにより、下請等中小事業者の働き方改革の妨げとならないことが重要です。
下請等中小事業者に対して発注を行うに当たっては、下請法等の違反にもなり得る「しわ寄せ」を生じさせないよう、周知徹底するよう要請いたします。
<災害時における取引条件>
令和元年台風第15号及び第19号に伴う災害により災害救助法の適用が決定されるなど、台風や前線を伴った低気圧などがもたらす大雨によって河川の氾濫や土砂災害が発生しており、被災地域における事業者と取引のある全国の事業者に影響が広がっております。
災害等の発生を理由として、下請事業者に一方的に負担を押しつけることにより、取引のある経営基盤の弱い中小企業・小規模事業者に悪影響を与えることのないよう、周知徹底するよう要請いたします。
く消費税の円滑かつ適正な転嫁>
令和元年10月1日から、消費税率が8%から10%引き上げられ、併せて、消費税の軽減税率制度が実施されました。減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為が生じないよう、周知徹底するよう要請いたします。
このような取引環境を御理解いただき、下請事業者と協議をした上で適切な対価の決定を行う、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うなど、親事業者が請法の遵守に取り組むよう御協力をお願いいたします。