FISPA便り「コロナ禍、あの友、この友」

 「2005・7・15」の日付と「ザ・ファミリー」と記してある新聞の小さなコラムの切り抜き。執筆者のイニシアルは「(恵)」。もう15年も前の切り抜きの色は茶色になっています。過去の新聞や雑誌の切り抜きを整理していたら出てきました。掲載紙は、横浜市の郊外で配布されていたフリーペーパーだったと記憶していますが、何故、この切り抜きを保存していたのか、鮮明に思い出しました。「友」のことです。

 新型コロナウィルスとの共存が常態の時代。リモート(遠隔)が重要なキーワードで、生産・販売、サービスはもとより、企業経営の根幹から個人の働き方や学業、あるいはオンライン飲み会や旅行など趣味の領域でも「非接触型」が進行し、定着しつつあります。今や、商品を消費者に小売りする際、ネットを使わない生産者、卸売業、小売業者は極めて少数派でしょう。

 「非接触型」では、ネット通販はすでに定着しています。在宅勤務はどの程度定着しているのかはわかりませんが、大学のリモート授業も含めると、首都圏の公共交通機関の混雑状況が以前より緩和していることから見ても、相当程度進展していると思われます。アパレル企業の決算発表でも、今後、強化する事業では多くの企業がEビジネスの拡大をあげています。

 デジタル革命が叫ばれたのはつい先日だったように思いますが、突然、降りかかったコロナ禍は、デジタル革命を一気に推し進めていると言えるでしょう。

 人との接触を極力減らす。ウィズコロナの新しい日常ですが、そうだとしても「リアル」への渇望は収まらないばかりかより強まるのではないでしょうか。「Go To トラベル」で旅行を楽しむ方が少なくありません。リモートでは満たされない「リアル」の価値の面目躍如といったところでしょう。 

 さて、冒頭のコラムです。要旨はこうです。「晴天の友」(こちらが順調な時に寄ってくる友)より「荒天の友」(落ちぶれた時助けてくれる友)を持て。利害に関係のない、学友などの「曇天の友」は敬称抜きで話せるし、相談できるが、残念ながら年を取ると年々、減ってゆく。年をとっても増えたのが「忘年の友」(年齢差を関係なく気楽に付き合える友)楽しい、年齢を忘れる友人だ。

 なかなか生身では会いにくい非接触型が求められている日常ですが、ビジネスジーンでも私生活でも、さまざまな友とオンラインでつながりながら「リアル」で会える日が一日も早くくることを祈りたいと思います。 

 (聖生清重)