FISPA便り「『仲間が恋しいソロキャンプ』タイプ」

 新型コロナウイスルス感染症が一向に終息に向かわない2021年度。各種報道によると、1日に行われた新入社員の入社式では、多くの企業が感染対策に万全を期しながら対面で実施しました。その新入社員。コロナには誰もが不安を感じ、行動や思考が翻弄されていますが、とりわけ今年の新入社員はかつてなかった異例な体験を強いられたことでしょう。

 就職活動は、就職イベントの相次ぐ中止でオンライン選考に切り替わりました。早めに内定を得ていた学生はともかく、多くの学生が孤独・孤立にさいなまれたのではないでしょうか。大学もオンライン授業が中心で同級生や教員、就職支援者との対面も限定的だったと思われます。採用側も戸惑ったことでしょうが、それでも困難を乗り越えて、今年も春4月に例年通り、新入社員を迎えることができたことを率直に喜びたいと思います。

 苦労が多かったと思われる新入社員ですが、今年の就職内定状況は、幸いなことに2月1日時点で89・5%と悪くない数値です。コロナ禍で業績が落ちている業種や企業も少なくない中では、ちょっとホッとする数字ではないでしょうか。

 そんな新入社員ですが、人事労務分野の情報機関、産労総合研究所が発表した恒例の「2021年度新入社員のタイプ」によると、今年のタイプは「仲間が恋しい ソロキャンプ」タイプだそうです。この情報に接した瞬間、「なるほど」と瞬時に同意しました。現下の社会情勢、就職活動状況、企業が置かれている状況などを勘案すると新入社員タイプの表現としては、実にぴったりしたものだと思えます。

 発表では、そのココロをこう解説しています。「オンラインでつながりつつも不安で孤独な就職活動。初めてだらけのソロキャンプのようにまごつくことも多かったが、気持ちを切り替え、工夫し、たくましくなった。自由さ、気楽さという魅力に気づいた人もいる。しかし、一方で、仲間への恋しさも募っている。社会に出てからは、自由の時間を楽しみつつ、いろいろな人々と知り合い、仲間づくりをしてほしい。先輩社会人も彼ら彼女らを働く仲間として受け入れ、積極的にフォローしてほしい」。

 全く、同意です。新入社員への愛情がこもっている、この解説。コロナ禍だからこその若者への声援だと思います。同時に、リモートワークが増えている先輩社員にも当てはまりそうです。

   初めてのソロキャンプ(リモートワーク)に戸惑いながらも、自由さという魅力を発見して楽しむ。仕事はしっかりこなすが、一方では通勤がなくなって増えた自由時間を自分や家族のことに使う生活。とは言え、仲間が恋しい。一日も早く、仲間とリアルでつながりたい。その思いは共通ですね。

(聖生清重)