FISPA便り「アジアファッションの未来」―AFFシンガポール大会から―④

最後のフロンティア、ミャンマー(下)

生産地が消費地に

  「アジアの秘境から最後のフロンティア」。ミャンマーの今を象徴する表現として、このキャッチコピーがぴったりです。わずか、1泊2日の旅でしたが、魅力的なフロンティアであることは確かではないかと感じました。

 まず、人口です。6300万人はタイと同規模。面積は日本の約1.8倍(アセアンで第二位)。食料自給率は127%。豊富かつ低廉な労働力のことは前回紹介しました。英国の植民地だったことから英語を理解する人も一説によりますと90%にのぼるそうです。

 さらに魅力をあげれば、地理的な優位性です。合計で6億人を数え、世界でも有数な経済発展を続けているアセアン諸国を市場としてとらえた場合、同地域向け消費財の生産地としての優位性が発揮できます。13億人の中国、11億人のインドを加えますと、その市場規模は約30億人にものぼります。

 もっとも、現状は、国民1人当たりGDPは約835ドル(2012年)。最貧国です。しかし、「実態的な一人当たりGDPは1700ドルで、日本方式のコンビニエンスストアが成立する額」(日本アセアンセンター)だそうです。タイや中国も生産地から一気に消費地に駆け上がりました。おそらく、ミャンマーもそうした「歴史の法則」にそって急ピッチで歩むことになると思われます。

 ヤンゴン市内に昨年4月にオープンしたショッピングモール(SM)、ジャンクション・スクエアを視察しました。地元とシンガポール資本による、このSMは4階建てで、大規模なものではありませんでしたが、化粧品売り場には資生堂、カネボウのコーナーがありましたし、アパレル製品のショップもありました。映画館、スーパーマーケットも併設されていて、訪れた日が日曜日だったこともあるのでしょうが、客の数も多く“最貧国”とは、思えない光景でした。

 話題は、100円ショップの「ダイソー」です。ミャンマーでは「180円ショップ」ですが、日本プロダクト(日本企業による高品質商品の生産)の信頼が高く、人気のショップになっているそうです。       

(聖生清重)