FISPA便り「リアル二刀流に拍手!」

 その年に話題になった言葉を選ぶ「2021ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識・選)は、「リアル二刀流/ショータイム」に決まりました。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手の投打にわたる大活躍が大賞に輝いたことに異論はないでしょう。大リーグでの活躍だけでも快挙なのに、投げてよし、打ってよし、さらには走ってよしですから、選ばれて当然だと思います。

 今年もコロナに明けて、コロナに暮れようとしています。緊急事態宣言も発出され、外出、会食を自粛せざるを得ない不便な生活を強いられました。コロナに感染したのに入院できずに亡くなった方もいます。胸の奥底に漂っている、どことない不安感をぬぐえない日々。そんな中、大谷選手の活躍とさわやかな笑顔に救われた方も少なくないのではないでしょうか。

 大賞以外のトップ10を見ると「人流」、「黙食」が入っています。その他の候補にも「自宅療養」、「副反応」、「変異株」、「マスク会食」、「路上飲み」があげられています。昨年の大賞は、ずばり「3密」でした。コロナ禍での生活が話題になった言葉が大賞になり、候補の言葉に入っている。そういう時代を生きていることを改めて感じさせられます。

 その一方で思うことは、トップ10やその他の候補の中には、知らない言葉が含まれていることです。筆者の場合、正直に白状しますとトップ10の中の2語、候補の20語中6語は全く知らないか、聞いたことがあるけど…が実情です。新聞はマメに読む方ですし、パソコンも毎日、開いています。スマホも少々、いじっています。TVニュースもよく見ます。でも、知らない流行語が少なくないことにいささか愕然としています。時代は知らないところで刻々と変化しているのだなあ、と。

 言葉と言えば、聖書の言葉を連想します。「初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった」(ヨハネの福音書)です。また、「言霊」(ことだま)という言葉にも妙に共感をおぼえます。言葉には霊的な力が宿っている、との感覚は多くの日本人が共有しているのではないかと思っていますが、いかがなものでしょうか。

 年末が近づくと、去り行く年に思いを馳せ、来るべき新しい年の幸せや平安を願う機会が増えます。そんなひと時。流行語大賞をきっかけに、過ぎ行く年を振り返るのも一考だと思います。

 ともあれ、「リアル二刀流/ショータイム」に快感を感じた筆者としては、大谷選手に盛大な拍手を送りたいと思います。

          (聖生清重)