FISPA便り「政界とファッション産業」

 かつて、自民党には「繊維対策特別委員会」(通称・繊特)という組織がありました。全国の繊維産地を選挙地盤とする議員の集まりで、森喜朗元総理も有力な繊維議員でした。繊維不況時の不況対策や通商問題への対応など、その時々の繊維政策への繊特の影響力には大きなものがありました。

 繊特は、繊維産業の規模が縮小し、日本経済に占める地位が低下する中で、いつしか幕を引くことになりました(自民党のHPには繊維ファッション特別委員会が記載されています)が、そんな繊特の現代版と言えるでしょうか、新たな議員連盟が発足しました。去る6月24日に、自民党本部で設立総会を開いて発足した「繊維ファッション議員連盟」です。議長の小池百合子議員以下14人でスタートし、新聞報道によりますと「糸へん業界は、国の成長戦略のかなめ。教育とともに、世界市場をベースにしたマーケティングを進め、日本発というブランド力を生かせるようしっかり取り組む」方針です。

 政権与党のそんな動きの一方、みんなの党の藤巻幸夫参議院議員の「第一回総会・大パーティー」が7月9日に都内のホテルで開かれました。伊勢丹出身の藤巻氏が、昨年12月に繰り上げ当選して半年。参議院選挙戦のさなかに開かれたパーティーには、みんなの党の江田憲司幹事長、官界から間宮淑夫経済産業省情報政策課長(元繊維課長)、業界から三宅正彦TSIホールディングス会長、花﨑淑夫ルミネ元会長、新井良亮ルミネ社長、大西洋三越伊勢丹社長、馬場昭典オンワード樫山社長ら総勢300人を上回る関係者・支持者が出席しました。

 繊維ファッション産業は、21世紀型の知的情報産業であり、その文化性、雇用吸収力、産地の中小製造業の維持、国境を越えての国民レベルでの交流などから国策として積極的に進行する価値のある重要産業です。

 その重要産業に対して、与野党の議員が関心を高めているとすれば、歓迎できる動きです。政治に対しては、とかく「斜に構える」風潮があることは否定できませんが、ここは、議員諸氏に素直に「期待」したいと思います。

(聖生清重)