FISPA便り「繊産連、新年会で“復活に走ろう”」

 先週は、日本繊維産業連盟の新春パーティーが都内のホテルで開かれました。恒例のものですが、今年は「繊維産業は復活するぞ」と、産業のフロントランナーらしい意欲に満ちた雰囲気が漂っているように感じられました。

 下村彬一会長はあいさつで「繊維産業は長年、苦しんできたが消費者の本物志向を受けて、デフレ脱却の中で技術力、意匠力を発揮する時がきた。円安を生かして、先端素材や安心・安全な製品の輸出も期待できる。繊維産業は、衣料分野だけでなく、航空機、自動車、水処理など幅広い分野で拡大できる。技術力を生かした先端素材と感性を生かしたファッションまで、千里を駆ける天馬のごとく飛躍する年になる。そのための基盤は産地の中小企業を含めたものづくり」と“復活”に向けての方向性と自信を述べると、来賓であいさつした磯﨑仁彦・経済産業大臣政務官は「日本の繊維産業は、日本製造業のモデルだ」と“復活”に向けての期待を明言しました。

 繊維産業は、一国の産業史のなかで、最初に産業として発展するものの、経済成長に伴う人件費上昇から、次第に衰退する宿命が課せられています。欧米がそうでしたし、日本も同様の道をたどってきました。しかし、最近は、炭素繊維に代表される先端素材に象徴されるように、日本の繊維産業は「新・繊維産業」として復活する可能性が開けてきました。

 欧米諸国では、実現していない「先進国における繊維産業の繁栄」を日本が実証できるかどうか。一部の企業の繊維事業が、今なお収益を伴うコア事業である事実は、繊維産業の宿命を打破することが可能なことを示しています。

 パーティーでは、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)の廣内武理事長が乾杯の音頭をとりました。廣内理事長は「(JAFICは)繊産連と一体となって歩んできた。20年来のデフレ脱却が見えてきた今年は、繊産連と一体になってデフレから脱却したい」として「走るぞ!ニッポン」と呼びかけ、大勢の参会者はこれに呼応して乾杯しました。

 産業のフロントランナーらしい走りを期待したいと思います。 

(聖生清重)