FISPA便り「国鉄民営化と商業施設」

 1月22日から24日まで横浜のパシフィコ横浜で開かれた「第38回日本ショッピングセンター全国大会」、「SCビジネスフェア2014」をのぞいて改めて、気付いたことがありました。「国鉄の民営化」の商業施設に対する影響と、その流れが引き起こしている影響の第二波とも言えるもののことです。

 国鉄の民営化ですが、1987年に中曽根康弘内閣が実施しました。中曽根首相の大きな功績だとされています。事実、民営化後、国鉄のサービスが向上したことは誰もが納得するのではないでしょうか。この民営化ですが、百貨店売上高が低落するにつれ「百貨店の不振の原因は国鉄民営化にある」との“怪説”が流布されました。国鉄が民営化されたことで、ルミネに代表される駅ビルが魅力を増して百貨店から顧客を奪った、と。

 事実、2000年代に入ると「百貨店の縮小」と「駅ビルの隆盛」の流れが明白になりました。その流れで先のSCビジネスフェアを見ますと、JR系のディベロッパー各社のブースは会場でひと際目立っていました。人が集まり、通過する駅。商業施設の立地としては申し分ありません。しかも、旧国鉄には優秀な人材が揃っていると言われています。国鉄民営化が百貨店不振の原因との“怪説”は、まだ通用しそうで、影響の第二波が押し寄せているように思えました。アベノミクスによる円安・株高で昨年の百貨店売上高は、実に16年ぶりに前年を上回りましたが、まだ、復権と断じるのは早計でしょう。

 SCフェアで、もうひとつ気づいたことは、高速道路各社、日本郵便といった、かつての公営各社も商業施設の開発、運営に積極的なこと、さらには、三菱地所、三井不動産といった財閥系ディベロッパーが大きなブースを構えていたことです。

 イオンやパルコといった、言わばファッション系の商業施設では本家筋の各社も意欲的に出展していましたが、会場を出た後に強く印象に残ったことはSC業界では、JR系と財閥系が主役を演じている、との現実でした。

                              (聖生清重)